今夏パリで行われる五輪・パラリンピックへの熱気も本格化する昨今。そのマスコット「フリージュ」がかわいいと思う。キョロリとした目で、親しみやすさがあり、一見、羽を広げた赤いヒヨコに見えたが、フランスで自由の象徴として知られる「フリジア帽」なる帽子からインスピレーションを得たキャラクターだそうだ。パラの「フリージュ」の方は、義足を付けているというのも、凝っている。
さて、それに引き換えスッキリしないのが、2025年大阪・関西万博のマスコット「ミャクミャク」への感情だ。動脈と静脈からインスピレーションを得たキャラクターだというが、どうしても理解不能。目がたくさんあって、不気味にさえ感じる。日本は「ゆるキャラ」の天国で愛されるマスコットをこれまで多く輩出しているはずなのだが、「普通では物足りない」と突っ走った結果だろうか。それとも私の感性が古びてしまったのかもしれない。
ところで、フランスでの五輪といえば、アルベールビルで行われた1992年の冬季五輪を覚えているだろうか。私はちょうどその時が2年間のパリ在住時だったので、よく覚えている。星の形をした精霊のマスコットは、それまで五輪で定番だったクマとかトラとかの動物キャラと異なり、新鮮で好ましかった。「星の形をしているのはフランスの国の形が星型だから」と知って地図を眺め、フランスという国の存在感が増した。マスコットの正式名は「マジーク」だったが、私は「星坊や」と呼んで、記念に買ったぬいぐるみを、帰国後も長く大事にしていた。私にとってはパリに住んだ思い出の象徴だ。今は手元にないが、思い浮かべると心がほっこりするマジックは30年たった今も消えていない。
こんな風に、マスコットやキャラクターは、親しみやすさと良い印象を残すものでなければならないと思う。パリ五輪の「フリージュ」はかわいい。そこに革命のメッセージが隠されていても、キャラクターはまずはかわいくあってほしい。
パリ五輪の開会式は7月26日。もう3カ月後に迫っている。開会式はセーヌ川の上で行われるという。
フランスらしい、センスのよい五輪が見られるのではないかと期待が膨らむ。(長井智子)
