感謝祭が終わり、ブラックフライデーを皮切りにクリスマス商戦に突入した。景気は相変わらず低迷しているものの、街の飾りつけも華やかになり、年末に向けて気分が盛り上がる。ところが一気に青ざめる出来事が起こった。
 これまで夫が利用していた某大手米銀が、一定額の残高がない場合は、11月から毎月の手数料を取るというので近くのクレジットユニオンに口座を開きに出向いた。そこで担当者に「あなたのソーシャルセキュリティ番号で、別人が口座を開いていますよ」といわれて驚いた。しかもこういった事件は珍しくないという。
 その人物は中西部と東部に合計3つ同じ銀行で口座を開設していた。すぐにその場で、ID盗難の被害に遭った場合の対応を教えてもらった。
 まずはオリジナルのソーシャルセキュリティカードを持ってソーシャルセキュリティオフィスで本人確認を行い、その後、被害届けを3つのクレジットレポート会社、銀行、FBIに提出した。
 クレジットリポートを確認すると、不幸中の幸いで特に高額のクレジットカード使用や住宅購入などの不正利用の経歴はなかった。
 自宅に届くクレジットカード申し込み書や各種書類はシュレッダーにかけているものの、利用していた銀行の顧客情報が流出したというニュースもあり、どういった経緯で悪用されたかは全くわからない。
 2年前に住宅購入のローンを組んで以来、新たなクレジットカードやローンの申請をしておらず、レポートも見ていなかったので今回発覚するまで盗難が分からなかった。
 アメリカ連邦取引委員会が今年3月にまとめた過去一年間の調査結果によると、消費者からの一番多いクレームはID盗難で、全体の130万件のうち19%を占める。カリフォルニア州は、フロリダ、アリゾナに続いて3番目にID盗難の被害届けが多いという。
 一度流失したIDは再びいつ、どこで、誰の手に渡るかわからない。銀行員の友人からは「クリアになるまで5年はかかる」と言われた。何もなくても、年に一度はクレジットリポートを確認したい。【下井庸子】

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