ロサンゼルスに住んでいると、活発な国際交流をしばしば目にする。文化、芸能、芸術、学術、スポーツ、経済、姉妹提携を結ぶ県、市や町、大学など、さまざま。こうした民間の草の根外交が、日米二国の絆を強め、恒久の平和を支えているに違いない。
 国際交流には、常に言葉の壁があり厄介もの。だが、そこは、同じ目的や志を持った人たち。身振り、手振りを交えて意思を通い合わせると、すぐに打ち解け、いつも驚かされる。そこには、国境や先ほど述べた言葉の壁などはもはや存在しない。
 その多岐にわたる日米交流の中の1つに、珍しく競馬場がある。今月29日にアーケディアのサンタアニータ・パークで東京・大井競馬場との友好提携の記念レース「東京シティカップ」が開催される。由緒あるサンタアニータで、海外の都市名を冠したレースは、この東京シティカップだけといい、大井でもまたサンタアーニタ・トロフィーを開いている。両者は運営のノウハウなどを情報・意見交換する経営陣のみならず、ジョッキーとトレーナーも行き来し技術を高め合うなど、19年におよぶ交流は深まるばかりだ。
 新緑の美しい山並みを背景にしたトラックはきれいに整備され、早春の壮観な光景が望める。ツヤツヤの毛並みで、優しく、おとなしい性格の馬を見ると心は自然に和む。競馬はギャンブルの側面を持つため、心配する人もいるが、馬券は1ドルからで、買うのと買わないのでは、レースへの思い入れは大きく異なる。わずか1ドルを賭けたとしても出走前からハラハラ、ドキドキで馬主になった気分になれる。最終コーナーを曲がり大歓声の中、ゴール前を全力で疾走する自分の馬を応援する興奮を味わってもらいたい。
 提携を祝い、日本の文化や芸能、観光などを紹介する「ジャパン・ファミリー・デー」が同時開催され、今年も趣向を凝らした演出で来場者を楽しませてくれる。伝統文化やサブカルチャーが披露され、食文化は、すしやお好み焼き、ラーメンは有名店が数軒出店する。イベントは老若男女、人種を問わず楽しめる。昨年の日本の流行語を借りて言えば、サンタアニータへ「行くしかないでしょう」。【永田 潤】

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