もうすぐハロウィーン。「今年はどんなコスチュームを着ようかな」と考えている人も多いのでは。しかしハロウィーンが近づくと思い出すのが、23年前にルイジアナ州で起こった服部君射殺事件だ。
 1992年10月17日、当時留学していた高校3年生(16歳)の服部剛丈君が、ハロウィーンパーティーの訪問先を間違え、仮装した彼を不審者と思ったその家の住人に射殺された事件。
 当時まだ子どもで銃が身近な存在ではない日本で生まれ育った筆者にとって、事件は大きな衝撃を与え、「銃社会アメリカ」の恐ろしさを突きつけられた。
 米国では近頃、銃乱射事件が多発している。今月1日にはオレゴン州の大学で、犯人を含む10人が死亡する銃乱射事件が発生。さらに翌週には、テキサス州とアリゾナ州の大学で同じ日にそれぞれ1人が死亡する銃乱射事件が相次いで発生した。学校での銃乱射は今年に入って、同事件で47件目。
 2013年の調査結果によると、同年の米国の銃関連の死亡者数はおよそ3万4千人。10年前と比べると13・8%増加している。米国には銃の購入者の身元情報を連邦当局に確認することを義務付けるブレイディ法があるが、同法は銃販売店への規制に過ぎず、実際の銃規制は州によって異なる。
 同年の統計で銃による死亡率が全米でもっとも高かったのがアラスカ州で死亡率は人口10万人当たり19・6人。2位がルイジアナ州、3位がミシシッピ州だった。上位の州では銃を購入する際、購入許可や所持する銃の登録を義務づけている州はなかった。一方、カリフォルニア州は規制が厳しく、銃販売に際し、連邦当局への身元照会を定めており、狙撃銃に関しては販売が禁止されている。
 オバマ大統領は先進国の中で、数カ月おきに銃乱射事件がおきる現状を問題視し、銃規制の重要性を訴えている。同大統領は過去に銃規制強化を目指すも、銃愛好家団体や共和党からの反対を受け断念した経緯がある。
 銃乱射事件はいつどこで起こるか分からない。市民が銃の危険性に脅かされることなく安全に暮らせる日は来るのだろうか。【吉田純子】

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