ご存知でしょうか。世界各地から日系人が集まる海外日系人大会が、今年も10月24日から3日間東京で行われます。
 第二次大戦後、米国各地の日系人が提唱し、日本への救援物資として粉ミルクなどの食料品や衣料品を送った「ララ物資」が届きました。推定400億円といわれるララ物資の20%は、自らも強制収容所抑留などで痛手を受け生活再建の途上にある日系人が、敗戦後の混乱と窮乏に直面している同胞のために募金を呼びかけてくれたのです。家を焼かれ、夫や息子が戦死し、混乱の極みにあった日本にとってはまさに干天の慈雨、物資もさることながら、救援の手が自分たちにも差し出された事実は一筋の希望の光となって私たちを勇気づけました。
 1957年、その好意に対する感謝の祭典が開かれ海外日系人大会のきっかけとなりました。私が初参加した2000年頃は、懇親会会場にはたくさんのご馳走が用意され、世界各地からの参加者が集まって賑わっていました。初めて里帰りする人、その地の恵まれない子供たちに学費を贈る里親プログラムを進める人、次代を担う若者、大会にはさまざまな人たちが集まって各地の現状を伝えあい、意見を交換し合って友情を育みました。海外に住むと、内からと外からでは日本が違って見えることに驚きました。そして日系人や在留邦人が日本の動く広告塔や防波堤の役割を果たしていると気づきました。日本の政府や国民は日系人を大切に活用すべきだと思います。
 大会初日は基調講演や皇族をお迎えしての交流会、2日目はシンポジウム「21世紀の日系人像」、3日目は日系人の主張、子供発表会を経て大会宣言が発表されます。海外日系人大会は各地の日系社会の実態を日本に紹介すると共に、日系人の方たちが母国・日本との紐帯を深める機会です。
 大会の模様は各省庁や県などの地方自治体に配布され、日系人の存在を知ってもらうよい機会です。最近、北米からの参加者をあまり見なくなりました。願わくば今年、または来年の海外日系人大会にLAやNY、いや世界各地から多くの参加者が来られることを願っています。
【若尾龍彦】

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