米国第45代大統領が誕生した。宣誓を行い晴れて就任し「おめでとう」と、祝福したいが、不支持率が半数を超え、寂しい船出となった。
出馬表明した当初は、冷やかし程度と侮っていた私。しかし、あれよ、あれよ、と勝ち上がり、ついに超大国のトップにまで上り詰めた。政治家しか総理大臣になることができない日本に対し、政治経験のまったくない実業家にもチャンスがある。可能性を無限に秘めるこの国のすごさに驚かされる。また、直接選ぶことができる制度も、うらやましい。
選挙戦前から、政治家には絶対できない発言を繰り返し、非難を浴びた。女性蔑視や不法移民を「レイプ犯」などなど、言いたい放題。所有するビジネスの不買運動が起きても、動じることはなかった。選挙に通れば、国民に認められたことなので、暴言ではなかったのか?、と錯覚に陥ってしまったこともあった。
新政権は、「米国第一」主義を掲げるだけに、その動向に世界が注視し、特に経済界が警戒していて、あらためてこの国の影響力の大きさを思い知らされる。製造業の国内回帰を目指し、TPP脱退表明。為替では「ドルが強すぎる」と叫ぶと、もちろん株価は敏感に反応。円高となると、輸出に頼る日本に大きな影響が出て怖い。
発言は、正式な就任まで慎むものだが、尋常ではなく、ツイッターで持論を展開。「国境税」となるものを打ち出し、普通は企業名を挙げず、暗にほのめかすもの。だが、次々に名指しした。各自動車メーカーは早急に対応、方針を変更し、国内工場建設などを迫られている。確かに雇用創出は、飛躍的に伸びるだろうが、新車などの価格が上がるのは確実で、景気の鈍化が心配される。
就任式には、議員や大物歌手などが続々と参列を辞退しまた、全米各地で大規模なデモが行われた。だが、国民が選んだ新大統領。テロ、そして暗殺など決してあってはならない。まだ、始まったばかり。戦闘機と大統領専用機の値下げ交渉はお見事。敏腕ビジネスマンの政治での実力発揮に期待し「よっ! 大統領!」と、叫ぶ日が来るまで、見守りたい。【永田 潤】