リトル東京はスキッドロウに隣接しているのでホームレスをよく見かける。うろつきながら大声を上げている様子を見ていると、ほとんどの場合怒りからくる叫びのようだが、時には嬉しそうに気勢を上げてたり、独り言をささやいている人もいる。誰に話しているのだろうかと思っていたが、ほとんどの場合、彼らの脳内の声、幻聴に応えていると知り、納得するとともに驚いた。
 ひと昔前には「ノイローゼ」とひとくくりに呼ばれていたが、ストレスや心配ごとによる神経症、パニック障害や鬱(うつ)など環境に起因しやすいものから、統合失調症、双極性障害など比較的遺伝によって世代間で継承されることの多い精神障害がある。ここで書いているのは当然ながら知的障害とは違う、脳内分泌のアンバランスによる精神的障害だ。
 知的障害者のIQが通常の人より低いのに対し、直接的原因なのかははっきりしないが、精神障害といわれている人の中には感性の秀でた人が多く見受けられる。芥川龍之介、草間弥生、夏目漱石、ゴッホ、ミケランジェロ、リンカーンなど超有名人が名を連ねる。最近ではその後のミュージックシーンに大きな影響を及ぼし、1994年に自殺したニルバーナのカート・コベインも双極性障害者だった。
 内閣府の統計だと日本国民の6%が何らかの精神障害を患っているとのこと。日本では精神障害は恥だということで公表しないことが多く、実際の数はもっと多いだろう。
 先日、イギリスの王室が支援するメンタルヘルス慈善プロジェクト「Heads Together」の一環で、ウイリアム王子と子供の頃から鬱との葛藤を続けるレディー・ガガがメンタルヘルスのことでチャットした。ウイリアム王子は母親ダイアナ妃の死による精神的打撃で、鬱になった弟のハリー王子を励ました経験を語っている。
 あまり知られていないがNAMI(www.nami.org)という慈善団体があり精神障害に関した情報と救済を提供している。同団体トーレンス地区では日本語での連絡を受け付けている。5月は Mental Health Awareness Monthだ。【清水一路】

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