今年、いよいよラグビーワールドカップが9月20日(開幕戦)から11月2日(決勝戦)まで日本で開催される。出場国20カ国、12都市で総数48試合。
 これまでまだ予選を突破したことがない日本は決勝トーナメント進出が第一目標! さらに選手の大活躍、監督&コーチの機知に富んだ戦略であわよくば強豪を打ち負かすジャイアントキリング(番狂わせ)を期待するが、ラグビーファンとしてレフェリーにも注目したい。
 現時点では誰がどの試合の笛を吹くのかはまだ発表されていないが、ラグビーは絶対的な威厳を持つレフェリーの采配が試合の流れを大きく左右する。各チームはレフェリーの癖、特徴、傾向、相性や采配具合を徹底的に研究して有利な試合展開に流れを持っていきたい意向だ。
 もちろん世界大会レベルに抜擢されるレフェリーたちは皆、大舞台も経験豊富なエリートたちである。中でも2015年イギリスで開催された前大会の決勝戦の主審を務めテストマッチ最多のベテラン、ウェールズ人のナイジェル・オーエンスの裁きが見どころだ。試合をスムーズに運ぶ潤滑油の役目に徹するのだが、試合中反則したり興奮する大男の選手たちに対して、皮肉たっぷりのユーモアでジョークを言い放してなだめたり、叱ったり、笑わせたりして指導し、常に選手たちと笑顔でコミュニケーションをとるので、見ていてとても楽しい。解説者たちも彼には一目置いている。
 彼は、ラグビー界へ多大なる貢献が評価され大英帝国勲章(MBE)を受章した。また自身がゲイであり、若い頃にそのアイデンティティーの苦悩から自殺を試み、意識不明のところを幸運にも早期発見で未遂に終わった暗い過去の体験も自ら告白している。カミングアウトした時、ラグビー界は皆温かく迎え入れてくれたことに感謝していると語った。
 何よりも彼の素晴らしいフェアな判断のみならず、本当にラグビーを愛する姿が伝わってくるのだ。選手に対して名文句で檄を飛ばしながら、プレーと人格に敬意を要求する世界最高峰のラグビーを今から楽しみにしている。【長土居政史】

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