5月1日からの新しい元号が「令和」に決まった。日本最古の和歌集「万葉集」からの出典という。
 発表を受け安倍首相は「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明した。
 筆者も日本の民放テレビ局配信のライブ中継を通し、時差なしで発表の瞬間を目にした。米国生まれの子どもたちも「何のことかわからないけど、おもしろい」と画面に釘付けになる。予定の時刻、日本時間午前11時半から発表は5分遅れ、10分遅れ…今か今かという空気が、画面からも近くに座るわが子からも伝わってきた。番組の出演者らも会話をつなぐのに必死のようす。
 そのような中、ついに菅官房長官が会見場に姿を現した。緊張のためか、カメラの前に立った菅さんはどことなくニヤけているようにも見える。元号の書の額縁が官房長官に手渡されたとき、下に向いたはずの文字がちらり。あわやフライング、となりそうだった次の瞬間「新しい元号は『令和』であります」と菅さんが告げた。額縁を掲げるや否や、カメラのシャッターを切る音が絶え間なく鳴り響いた。新元号発表の瞬間である。
 新元号原案に対する意見を聞く有識者懇談会のメンバーの一人だった山中伸弥京都大教授は発表後の記者会見で、「美しい、奇麗な印象」との感想を述べた。ふむ、確かに。「地平らかに天成る」キリリとした響きの「平成」に比べると、「令和」は教授のいうような表現が似合うのかもしれない。
 角川日本史辞典の元号索引によると、「令」という文字が使用されたのは今回が初めて。「れ」の音では、奈良時代の「霊龜(れいき)」以外にはない。一方、「和」の字は「安和」や「寛和」など「な」と読ませる場合を足して20回用いられている。
 安倍首相の説明による元号の意味を聞きながら「もし『令和』が30年続いたら、わたし40歳?」と次女が尋ねた。皇太子が即位し「令和」が30年続いたら、今10歳の彼女は確かに40歳。元号ごとに切り替わる日本人の時の感覚が、日系米人の彼女たちにも受け継がれていくのかどうか、今の時点では皆目わからない。【麻生美重】

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