女子ワールドカップサッカーの日本なでしこは、惜しくもベスト8進出は果たせなかった。しかし、スポーツは国境を越えて世界中の人たちが共通にプレーできる素晴らしいものだ。音楽も絵も映画も料理も…そして、幼い頃、しばしばいろいろなゲームで楽しんだトランプ(英語ではCardsという)もだ。国際トランプ協会によれば、大人も遊べるポーカーやブラックジャックも含めて、約1000〜1万1000もの遊び方が存在すると推測される。
 そもそもトランプの起源とは? 有力な一説によると、西暦1000年に中国で発明され、その後当時イスラム圏だったインドやペルシア、そしてマルムーク朝が支配したエジプトを経て、14世紀後半にヨーロッパに渡ったと言われる。もともとはエリート向けの高い遊び道具だったのが、印刷機が発明され、貿易が盛んになり、民衆にも手に取れる安い商品としてヨーロッパで急速に普及したようだ。
 4つのマークのスペード、ハート、ダイヤ、クラブは、当時の中世ヨーロッパで、刀剣、聖杯、貨幣、棍棒が描かれて、それぞれ貴族、僧侶、商人、農民を象徴していたという。
 不思議に思ったのはなぜ4種類13枚ずつ、総数52枚なのだろう? 天文学が進んだアラビア世界で、4つの四季を表し、13は太陰周期で、13×4=52、つまり1年52週になる。しかし、1週間7日として52週だと364日になる。これも偶然かもしれないが、全てのカードの数字を全部足すと364になる。
 1年365日だから1日足りない。そのためジョーカーが必要となるらしい。また通常ジョーカーは2枚入っているので、もう一つはエキストラ(セカンド)・ジョーカーと称し、閏(うるう)年を表すとの解釈がある。また2種類の色は、昼(赤)と夜(黒)を、絵札の12枚は12カ月を表すという。
 調べていくとジョーカーは、アメリカ人が発案したらしい。ちなみにトランプカードは最もパワフルな切り札の意味。ジョーカーがなりうる時もあるが、ピエロ、道化者でもあり、社会を混乱させる。とにかく国境を超えて世界中で楽しんでもらえる魅力のトランプの話なのだが、どうしてももう一人別の人物が頭をよぎる。【長土居政史】

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