英語のレジュメっていいなと思う。「こういうミッションを持って、こんなゴールを目指して仕事をしています」と、学歴と職歴とともにどういう人間なのか冒頭から伝えることができる。社会的属性で自分をラベリングする必要はない。
 あるアメリカ企業の日本オフィスに願書を出すとき、英語のものだけでなく日本語の履歴書も出すように指示された。しばらく書くことがなかったのでグーグルで検索してみた。
 定型とされているパターンを見てギョッとした。今でもこうか。学生時代にアルバイトの面接で使ったものと変わっていない。生年月日、年齢、性別に住所、扶養家族の有無まで記入を求め、顔写真も必要。性別欄は「男・女」のどちらか選んでマルをつける。この「日本式」の履歴書自体、アメリカでは「違法」である。
 そもそも男女で扱いが違う日本社会で、面接をする前から細かく属性を明かすことはあまり気が進まない。そんな中、今年もこのニュースが世間を賑わせている。世界経済フォーラムが各国の男女格差を調べた「ジェンダー・ギャップ指数」。日本は153カ国中、121位で過去最低。G7の中でも最下位。特に男女間の賃金格差や、女性閣僚の少なさが影響したとされている。ちなみにアメリカは53位。
 3位のフィンランドは女性閣僚の多さと若さで話題になっている。新しい首相が地元紙に話したとされる言葉が新鮮だった—「メディアは年齢や性別、生い立ちを伝えたがるが、それは2次的なこと。大事なのは政治家として何をするか」。彼女は相当の努力家であったに違いない。でも属性に左右されずチャンスを与えられる環境はやっぱりうらやましい。
 年齢、性別、国籍など人を「型」にはめることはいずれ大した意味を持たない無用のものになっていくんじゃないかと思うし、そうなると信じていたい。その人がありのままの姿や仕事ぶりだけで語られ評価される、そんな未来。何歳で大学に入っても転職しても新しいことを始めてもいい。昔の人間が決めたことは私たちが見直して必要であれば変えていけばいい。
 提出を求められた日本語の履歴書は、定型には従わず「オリジナル版」を作成した。英語のレジュメに準じて、自分が開示したい判断してもらいたい情報だけを記入。私が女性で、何歳くらいで、国籍はどこで、どんな顔をしているかなんて面接すればすぐに分かることだ。【中西奈緒】

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