日本の風呂に入る習慣は実によいものだ。湯に体を沈めて体が温まると気持よく体も心もくつろぎストレスも取れる、湯圧の効果で血行が促進され新陳代謝が進む、老廃物や汗が体から抜け出る、湯温と湯圧によるマッサージ効果がある、体が清潔になりスッキリする、よく眠れる、がん細胞は熱に弱くがん予防になる、など沢山のプラス効果がある。シャワーで体を洗うのと風呂に入るのとは根本が違う。
ところで世界の中で日本以外に日本式の風呂の習慣はない。日本人は無類の風呂好きで、日本の家庭には風呂があるのが普通で、日本には毎日のように湯船にたっぷり湯を張り湯に体を沈めて風呂を楽しむ入浴文化がある。日本ではどこでも普通のことだから日本人は外国でも日本のように家庭で毎日風呂に入っていると思っている人が多いが、外国ではシャワーが主で湯船にたっぷり漬かる入浴は日本独特のもの。西欧のバスタブは浅いので全身を首までゆっくり漬かれず、追いだきもできず、だんだんと湯温が冷めるので日本の風呂とは違う。
入浴文化は西欧では紀元前の古代ギリシャで医療や運動後の実用目的で公共浴場で入浴する習慣があり、それが古代ローマに伝わり古代ローマ人も公共浴場で入浴する文化を持ち流行した。だが古代ローマにキリスト教が入り国教となると公共浴場が風紀上問題視され次第に無くなっていった。トルコも含めこれら古代文明国の公共浴場は大型プール式の施設で、日本の家庭の風呂とは違う。
現在、世界で風呂文化が盛んなのは日本だけで、家庭の風呂も各地の温泉も風呂文化は日本が世界に自慢してよい大衆、家庭文化と言える。欧米でも温泉が出る所はあるが日本のような温泉宿や施設がない。欧州人が温泉に行くのは風呂に入るよりも医療的な効果を求めて温泉を飲みに行くのが主流だった。
今、日本の家庭の風呂は遠隔ボタン一つでお湯が入り、セットした温度になると「お風呂が沸きました」と音声で知らせてくれる。セットしておくと入っている間も温度を自動調節してくれて快適で便利。このような風呂は世界広しと言えども日本独特のものだ。【半田俊夫】