12日、テニスの四大大会の一つ、全米オープンの女子シングルス決勝で、大坂なおみ選手がアザレンカ選手に2対1のフルセットで逆転勝ち、2年ぶり2回目の優勝を果たした。23歳未満でメジャー3冠を達成したのは、2008年のマリア・シャラポワ以来である。しかし当日の観客をはじめ世界の人々が感動したのはそのプレーと共に、彼女の人種差別への抗議行動だった。
 彼女の抗議行動は大会前から始まっていた。6月に抗議デモに参加するためにミネアポリスに出向き、7月には雑誌に寄稿し、「自分の人生で何が実際に重要なのかを再評価した。私はテニスができなかったら、私は何をして変化をもたらすことができるのだろうか?と考えた際に、声を上げる時が来たと決めた」と書いている。
 彼女は「私はアスリートである前に、1人の黒人女性です」「いつになったら終わるのでしょうか?」と発言し、全米オープンの前哨戦の大会では抗議の意味を込めて準決勝を一度は棄権したのである。
 全米大会では、「名前入りマスクは7種類ありますが、7枚では足りないのが悲しいです。決勝まで進んで全員の名前を見せたいです」と決意を述べた。
 「テイラーさんの事件を知らなかった人がインターネットで調べたりするでしょう。事実を知ればより関心を持つことができますから」、「私はみんなにもっと知ってほしい。私は以前、今の自分の力を当たり前のように感じていたが、今は何かのために使うべきだと感じています」、「あれは避けることができたと知ってほしい」―
 決勝戦の後、「皆さんにこのことを話題にしてほしくて(マスクの)行動をしました。もっとたくさんの人がツイートしたり話題にしてほしいです」。歓喜を爆発させなかったなおみは、しみじみと語った。人種差別抗議という目標が彼女のメンタルを強化した。そんななおみに拍手を送りたい。
 オリンピック憲章第50条は「競技会場などで政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じる」と定めている。しかし、この人種問題はそれらを超える人間本来の基本的権利だとして改正要求の声が各国から上がり始めている。【若尾龍彦】

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