ホワイトハウスのローズガーデンに飾られたイサム・ノグチの作品「フロアフレーム」
 彫刻家イサム・ノグチ氏が制作した1962年のブロンズ彫刻「フロアフレーム」がホワイトハウスコレクションに所蔵されることになり、20日、ホワイトハウスのローズガーデンに設置された。同コレクションにアジア系米国人の芸術作品が所蔵されるのは初めてで、メラニア・トランプ大統領夫人が作品を選出したのを受け、ホワイトハウス歴史協会が購入した。

 ホワイトハウスコレクションは同時に、新しいウェブコレクションを立ち上げた。ここには、ホワイトハウスコレクションに名を連ねる著名な作家の記事が掲載されている。米国の多様性を示す「ホワイトハウスの多様な芸術」では女性や有色人の作家が紹介されている。アルマ・トーマス、ジェイコブ・ローレンス、シミー・ノックス、ヘンリー・オサワ・タナー、グレタ・ケンプトン、ジョージア・オキーフ、そして現在はイサム・ノグチについての作品を特集している。歴史協会はさらに、学校の授業で使える教材集や教育ビデオなど、ホワイトハウスの芸術の多様性に関する教育リソースを新しく開発した。

メラニア夫人(左)がテープカットを行い、イサム・ノグチの作品はお披露目された
 「ホワイトハウスの所蔵は、最高の米国人作家の作品を紹介するものでなければならない。それは、米国の芸術的遺産の多様性を完全に反映したコレクションをキューレートすることを意味する」と、ホワイトハウス歴史協会のスチュワー・トマクローリン会長は述べている。「ノグチ作品がホワイトハウスコレクションに加わったことは、ノグチ氏の素晴らしい成果の価値ある証拠である。また、あらゆる文化的背景を持つ米国人を確実に代表するための、私たちの取り組みにおける画期的な出来事だ」
 ホワイトハウスコレクションの新ウェブサイト—
 www.whitehousehistory.org/diversity-in-white-house-art
 この重要な作品がホワイトハウス・コレクションに追加されたことを記念して、協会はイサム・ノグチを始めとする多様なアーティストをホワイトハウス・コレクションに参加させることの重要性についてのバーチャルプログラムを12月1日午前7時(大西洋時間)に開催する。プログラムは二つのパネルに分かれ、2番目のパネルはニューヨークのジャパン・ソサエティーと協力して開催される。プログラムは無料で一般に公開される。
 シンポジウムのアクセスは下記ウェブサイト、または同協会のフェイスブックで視聴可能。
https://www.whitehouse history.org/events/the-history-of-diverse-artists-in-the-white-house-collection-virtual-symposium
 イサム・ノグチ 生涯を通じて進歩的で社会的な芸術的実験を貫いたイサム・ノグチ(1904〜88)は、20世紀の主要な彫刻家および設計デザイナーの一人。カリフォルニア州ロサンゼルスで米国人の母と日本人の父の間に生まれたノグチは、13歳まで日本に住み、インディアナ州ラポルトの高校に通い、ニューヨーク市のコロンビア大学で1年間大学に通った。米国が第二次世界大戦に突入した初期、ノグチは日系米国人の戦時移転住所への強制移住を阻止しようとたゆまぬ努力をしたが、運動が失敗すると自ら進んでアリゾナ州ポストンのコロラド川移転センターに収監された。キャンプのデザインを改善したり、収容された日系人のために文化的に意味のあるプログラムを開始することを望んだりしながら、アリゾナで6カ月間過ごした。
 60年にわたるキャリアの中で、ノグチはさまざまな作品を制作した。ベンジャミン・フランクリンの記念碑、ユネスコのパリ本部の庭園、今世紀で最も有名なテーブルの一つである「アカリの光」の彫刻。マーサ・グラハムのダンス公演のためのセットを20回以上手掛けたり、世界初の「機能しないな日本の陶器」を制作したりもした。作家が自分の作品を展示するために設立した米国で唯一の美術館も開館した。82年に芸術への卓越した生涯貢献に対してエドワード・マクダウェル・メダルを受賞。86年に京都芸術賞、 87年に国立芸術章、そして88年に日本政府から瑞宝章(Order of the Sacred Treasure)を受章した。88年にニューヨーク市で亡くなった。

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