「クリスマスを(シアトル郊外の)家で過ごすのは初めてなの」と15歳の孫娘。毎年、学校が冬休みに入ると南カリフォルニアの祖父母の元に飛び、いとこたちに会ったり、ディズニーランドに行ったりして楽しく過ごしてきた。それが今年はコロナで激変。授業はオンラインとなり、休みになっても自宅にこもるだけの日々。そこでこの冬はこれまでと違い、家族で地元のツリーロットに出掛けて木を選び、ホリデーの飾り付けに精を出すことになった。
 皆、似たような思いからだろう。トリック・オア・トリート自粛が呼び掛けられた当地では、今年は庭をハロウィーンのテーマで飾る家がご近所でも多く、車で見て回ったほどだ。
 クリスマスの飾り付けも例年より早く始まり、サンクスギビング前から庭のライトアップに精を出す姿が見られた。コロナで制約の多い暮らしを少しでも楽しいものにしたいとの思い、来年こそは以前のような日常に戻りたいとの願い…。そんなこんながいっぱい詰まった光の飾り付けに、ささやかながらわが家も参加。隣家の奥さんも、「今年初めて外を飾ることにしました」と色とりどりのLED豆電球を買い込んで、ベランダのレールに巻き付けた。
 日を追うごとに1軒、また1軒と、ご近所の光の帯が増える。高緯度のため午後4時過ぎには日没となるこの土地では、午後5時ともなれば近隣がディズニーランドのように輝き始める。かつてシアトル敬老入居者の乗るバンを運転してクリスマス・イルミネーションで知られる住宅地を巡ったことを思い出す。
 とは言え、この傾向も土地によりかなり違ってくるようだ。ロックダウン中のワシントン州とは違い、感染者は多いのにレストランもバーもいつも通り営業中という南部の州に住む息子によれば、飾り付けは例年とさほど違いがない由。色とりどりの光で輝くのは、特にロックダウン中の地域だからこそ。閉塞感の中の希望の光なのかもしれない。
 来月はいよいよ新大統領が就任する。コロナに正面から向き合う大統領の下で、来年のホリデーは人々が自由に行き来出来る状況になっていることを心から願うばかりだ。【楠瀬明子】

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