気がつけば師走。2020年はパンデミックにより、激動の一年であったものの、振り返ってみれば本当にこぢんまりとしたように感じる。行動範囲は極端に狭まり、人と対面する機会が圧倒的に少なかった。そうした意味では、人類が一番平等になった年なのかもしれない。目に見えないウイルスに脅威を感じ、恐怖に支配されたという点で、どこにいても誰一人リスクから完全回避ができなかった。
パフォーマーはステージを失い、教師は教壇がなくなり、ZOOMの普及により、誰もが画面に均一のサイズで収まるようになった。先導者たちの貫禄も威厳もいささか薄れてしまったように思う。コロナ前はオフラインがあったからこそ、オンラインの便利さが感じられたが、それが逆転してしまった今、ウィズコロナ、ニューノーマルにどんな未来が待っているのだろう。
今、われわれに求められていることは、どんな現実も受け入れる忍耐力と、的確な情報の収集力、現状を分析した上での冷静な判断力、そして、変化を恐れない行動力ではないだろうか。現時点では、コロナの収束はめどが立たない。であれば、できることを精一杯やるしかない。今こそ自分に自信を持ち、積極思考で突き進みたい。
そのためにも、好奇心、探究心、懐疑心、何でもいいから、疑問を持つことが大切ではないか。不思議に思うことで解明したい気持ちが芽生える。それは結果的に自分を守る叡智(えいち)となり、向上心を高めることにもつながる。もちろん、答えが見つからないことは多い。それでも、疑問を抱くことが、思考を巡らせ、答えを見つける行動に導いてくれる。
確かにコロナで失ったものは多いが、得たものも少なからずある。それは時間だ。その時間を使って、私は今年のコロナ上半期はひたすら読書、下半期は異常な数の映画とアニメを鑑賞し、自分の知らなかった世界をたくさん学ぶことができた。しょせん、一人の人間の力は小さい。目に見えないウイルスにも勝ち目なはい。だが、その事実を嘆くより、自分が知らない世界に目を向け、発見する喜びを連ねていく方が、ずっと前向きだし建設的だろう。2021年は自分元年となる。【河野 洋】