日本は世界一少子高齢化が進んだ国と言われている。日本の人口は明治維新当時に約3330万人であったが、日清・日露戦争後外地に活路を求め、富国強兵で産めよ増やせよと人口は急拡大、多くの戦死者や空襲による戦災に遭いながらも終戦時は約8390万人となっていた。1億人を超える本格的な人口増加は引揚者や復員した兵士たちが帰ってきた戦後のことである。
 特に、ベビーブームといわれた戦後の1947年~49年の3年間で出生数800万人超の人口爆発となった。この世代は「団塊の世代」と呼ばれ、優生保護法を成立させ、避妊・中絶・不妊手術などの産児制限を取り入れざるを得ない時代であった。団塊の世代はその後も年代が上がるに従って、学校増設・多人数クラス、集団就職、人口の都市集中、都市圏の拡大や団地の出現、第2次ベビーブーム、核家族化となって次々と社会の形態を変えてきた。この団塊の世代が高齢化を迎えたらどう対処するかは、日本の国家として根本的な問題であった。
 1973年、有吉佐和子著「恍惚の人」という小説が映画化され、世の中に衝撃を与えた。高齢になれば人の記憶力・判断力は衰えぼけてくる。以前はほとんどの老人はその前に生を終えたのだが、近年の医学の発達により平均寿命が伸びてこのような事態を迎えることになった。
 セーフティーネットといわれる社会福祉制度は、国力により異なる。またその時々の政治に左右される。国民皆保険制度で高齢者医療が無料になると、核家族化の進んだ社会では介護を要する親たちを病院に送り「社会的入院」「寝たきり老人」が激増して健康保険の財源を脅かすようになった。そこで考え出されたのが介護保険制度である。
 介護保険制度は、①契約制度(高齢者が望んで契約する)②民間活力の活用③地方分権の重視④費用抑制のメカニズム導入―が特色となっている。国民保険と異なるのは、在宅でのリハビリや介護を奨励し、高齢者を家族、地域社会、地方自治体などで多元的に支えてゆこうという狙いである。
 これらの具体的な仕組みは書ききれないので、次回に譲りたい。【若尾龍彦】磁針

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