どの辺で線引きをすればよいのかはっきりしないが、とかく年寄りは口うるさいものである。
 長く生きた分だけ他人の特に若い世代の欠点が目に付き、これくらいのことは、とのみ込むこともしばしばだが、これがたまってくると「もの言わぬは腹ふくるるわざなり」となる。
 1年以上パンデミックの拘束で、経営が思うようにゆかなかった地元の飲食業をサポートしようと、月に2回屋内でフレッシュ・マーケットを開催することになった。
 大根やカブ、ナスやキュウリなど日本の野菜を主に有機栽培をしている小規模の農園、にぎりや巻物などの寿司を販売する仕出し業、具にアイデアを凝らしたおにぎり専門店、母親の味を表に出す日系4世の店などに場所を提供しているが、これがなかなか好評である。
 日系コミュニティー・センターとしては、収入は無視してコミュニティーの活性化を図ろうとしているので、気持ちだけの参加料金を取って、テーブルやイス、テーブルクロスを提供し、エアコンディションを利かせて、広報にこれ務めサインまで作り、職員6人が準備と後片付けに走り回り、出店企業にとって屋外で開催されるファーマーズ・マーケットとは待遇に格段の差があるはずだが、問題はこの後片付けにある。
 自分のセクションの後片付けをきちんとして帰る人もあれば、借用したトレーは汚れたまま置きっぱなし、テーブルクロスも食品のクズがこぼれたまま、畳みもしないご仁もいる。
 ここでうるさい婆アはひと言いいたくなる。
 「ひと様から借りたものは、借りた時の状態にして、返しましょうね」
 これは日本人だろうが日系人だろうが同じこと。多分この若者は家庭でこのような教育を受けずに成長したのだろう。自分で起業し、パンデミックを生き抜いてきたバイタリティーもアイデアもある若者なのだが気働きというものがない。汚したトレーは自分が片付けなければ、他の誰かが洗わねばならない、というところまで気が回らないのだ。これで2回目である。
 3回目の来月は、トレーとテーブルクロスに添えて、うるさい婆アのひと言を一緒に提供しようと思っている。【川口加代子】磁針

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