13年前の2008年に一度「国名発音統一案」というトピックのコラムを執筆した。要するに、英語のIvory Coast(アイボリー・コースト)が、日本語ではフランス語発音のコートジボワールになったり、オランダはHolland(ホランド)ともthe Netherlands(ザ・ネザーランズ)とも言われ紛らわしいので、一つに統一しよう、という意図だ。
 2年前オランダ政府は、Holland を使わず、the Netherlandsに統一することを決定。東京五輪でも公式国名ブランドとして大々的に世界にアピールする戦略を計画していたそうだ。
 そもそもその日本語の「オランダ」(ポルトガル語の読み方)という発音が、「ホランド」と異なる。英語でthe Netherlandsは、オランダ語では、Nederland(ネダーランド)と呼ぶ。歴史的背景や文化によって、呼称表現や発音が多種多様なのは、容易に察しできる。しかし、ネットでこれだけの情報が行き交うこの現代に、そろそろ世界中の人々がどの言語でも共通して分かるように一旦整理して、呼称を統一してもいい時期では? と提案するのである。
 オーストリアの首都ウィーンは、英語ではVienna、発音はヴィエナになる。ギリシャのアテネが、英語ではAthens、発音はアセンズ。イタリアのナポリは、英語ではNaples、発音がネイプルズ。地名の発音はそのオリジナルの地元である自国が決め、他国はそれを尊重するように心掛ける。どうだろう?
 先日、日本の友達にWuhan(ウーハン)の話題を伝えたところ、ピンときていなかったようなので、武漢(ぶかん)と言い直した。北京語では「ウーハン」(ハにアクセント)と言う。調べると、広東語では「モウホン」に聞こえる。それぞれ漢字の読み方が異なるので、発音が変わってしまうのだろう。漢字だと一層複雑化するようだ。
 言語の音韻体系は世界共通でないので、表現する音がない場合は、正確に表すのは困難だ。カタカナでも表現には限度がある。しかし、なるべくその地元が決めた発音に近づける。
 ふと難関に気付いた。となると「ロサンゼルス」を「羅府」と呼ぶのは? とりあえず、この種の省略は特別待遇の例外としてしばらくは認めようか? 統一はかえって、より厄介になってしまうのか?【長土居政史】磁針

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