2015年にLA七夕まつりのスポンサーとなり、同実行委員会から表彰されたユニオンバンク小東京支店のスタッフ。地域密着の銀行として愛されている

 これまでに日系米国人コミュニティーとMUFGユニオンバンク(ユニオンバンク)が築いてきた密接な関係。それを最も象徴するのが二世週祭だ。パレードで二世週祭女王たちが乗り込む色鮮やかなフロートで、壇上から小東京の群衆に手を振る新女王とコートたちの後ろには、MUFGユニオンバンクの名が大きく表示されてきた。
 ミネアポリスに本拠を置くUSバンコープは9月21日、ユニオンバンクの米国銀行部門のほとんどを買収したと発表した。買収取引額は約176億ドル。この買収によって日系社会との間に築かれた緊密な関係に何が起こるのかは、未知数だ。

二世週祭のグランドパレードで、ユニオンバンクは毎年、女王とコートを乗せるフロートをスポーサーしている。=2017年(写真=マリオ・レイエス)

 USバンコープの社長兼会長のアンディ・シシーリ最高責任者は今後について、「顧客とコミュニティーを最優先するというUSバンクの強力な実績を維持しながら、ユニオンバンクと共に最先端の金融商品へのアクセスを増やしていく。低所得のコミュニティーへのサービス提供や、マイノリティーが主導する機関への支援における両銀行の優れた実績を維持することにも取り組む」と述べた。さらに、「われわれは、ユニオンバンクのチームに多大な敬意を払っており、彼らを米国バンコープのファミリーに迎えることを楽しみにしている」と、期待を語った。
 発表によると、今後、ユニオンバンクの法人顧客向け業務は日本の大手金融グループに移管され、銀行の全株式は来年6月までにUSバンコープに売却される予定という。
 親会社のMUFG(三菱UFJフィナンシャルグループ)は、日本側が業績の悪い米国セクターを再評価したこの取引により、USバンコープの約2・9%の株式を取得し、資本提携を形成することになると述べている。本年6月30日の時点で北米に305支店を運営するユニオンバンクは、主に西海岸の州におけるリテールバンキング支店と、テキサス、イリノイ、ニューヨーク、ジョージアの各州における商業支店で構成されている。
 日本人および日系米国人コミュニティーとの関係に与える売却の影響について質問されたユニオンバンクの代表者は、「USバンクは、ユニオンバンクが提供できる能力の高さを認識しており、統合プロセスが開始されたらユニオンバンクの行員を歓迎したいと、熱望している。ユニオンバンクの伝統的な市場であるカリフォルニア、ワシントン、オレゴンでは、すでに全ての最前線の支店の行員を維持することが約束されている」と説明し、「継続性」を強調した。

1953年2月にカリフォルニア東京銀行がロサンゼルスに初めて開設した支店。小東京の2街とサンペドロ通りの角に出店した

 ユニオンバンクは近年、支店を維持するためのコスト上昇と低金利が原因で、財政的苦戦を強いられてきた。
 ミネソタ州ミネアポリスに本社を置くバンコープは、米国で2千を超える支店を運営している。
 取引が完了するまで、ユニオンバンクとUSバンクは完全に別々の銀行として、独立運営を続けることになっている。そのため、当面はユニオンバンクの顧客がすでに慣れ親しんでいる銀行のチームメンバーやリレーションシップマネージャーに変更はない。銀行代表者は、「私たちのチームはお客さまを支援する準備ができており、お客さまに影響を与える重要な変更については通知することをお約束します。ユニオンバンクとUSバンクは、どちらも私たちのコミュニティーを支援することに専念しており、私たちの共同投資は、企業の社会的責任の取り組みに力を合わせ、私たちのコミュニティーの中でより広い範囲で、さらに有意義な利益をもたらすでしょう」と述べた。
 ユニオンバンクは、日系のカリフォルニア東京銀行の流れをくむ。カリフォルニア東京銀行の初代頭取は竹下松次郎で、ロサンゼルスに初めて、小東京2街とサンペドロ通りの角に開店したのは、1953年2月のことだった。 戦後の日系米国人コミュニティーの成長を中心に業務を拡張し、54年にガーデナに支店を作ってからはさらに日系米国人と共に歩んできた。
 東京銀行はその後、合併や買収により形を変えたが、日系米国人のコミュニティーは常に経営の重要な基盤であり続けた。現在のMUFGユニオンバンクのウェブサイトには、日本語サービス専用のページがあり、ガーデナ、アーバイン、小東京、モンテベロ、サウスガーデナ、トーレンスの各店には日本語を話す行員がいる。
 売却取引が完了すると、米国のリテールバンキング業界における最後の日系銀行が無くなることになる。カリフォルニアでは住友銀行が1998年、アジア系の移民市場で存在感拡大を図るザイオンズ・バンコーポレーションに、約5億4600万ドルで買収されている。
 近年、ユニオンバンクはJANM(全米日系人博物館)、LA七夕まつり、JACCC(日米文化センター)など、日系米国人コミュニティー組織の支援を積極的に行ってきた。中でもJACCCに対するユニオンバンクの支援は、アラタニ劇場やイサムノグチの彫刻「To the Issei」などの建設に資金を提供した1970〜80年代にまでさかのぼる。JACCCは2019年、MUFGユニオンバンクの貢献をたたえ、会長賞を授与している。
 羅府新報は2008年に、ユニオンバンクの田中正明頭取兼最高経営責任者(当時)にインタビューを行った。その中で、田中氏は日系人について、親戚のオサム・イノジマが第二次世界大戦中に米軍事情報部に仕えていたことをJANMの展示から知ったことを明らかにし、「私は渡米して11年。私にはカリフォルニアで生まれた4人の子どもがいますが、彼らは日系米国人です。私の家族の歴史の中に、米国に移住した者もおり、ここで生まれた者もいる。それで、個人的に日系米国人の歴史に興味を持つようになりました」と話していた。そして、「当行は日系米国人コミュニティーへの奉仕を継承しています」とユニオンバンクについて語っていた。

2009年に新たなロゴを採用し、発表会で祝うユニオンバンクの社員

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