【河野 洋】 最近、富に気に入っているのが乳酸菌飲料。僕が子供の頃によく飲んでいたのは「ヤクルト」で65mlの小さなプラスチック容器に入って、実際に小さいのに飲み応えがあって、味もしっかりしていて、大好きだったから毎日のように飲んでいたことを覚えている。
 調べてみると、この小ボトル1本あたりには何と乳酸菌シロタ株が200億個含まれていて、まさに小さな巨人と言える飲み物だ。通常5本1パックで販売されていて、1本あたり80セントぐらいだが、2本分でソーダ2リットルが1本買えることを思うと高級ドリンクとも言える。
 子供といえば、小、中学生の頃は身長が低く体も小さく、学校で整列する時は決まって一番前に立たされた。だから、先生が「前へならえ!」と言う時、前は誰もいないから、すごく違和感があって「早く大きくなりたい」と切に願っていたが、結局、中学を卒業するまで、いつも一番前に立っていたような気がする。
 しかし、最近になって気が付いたのだが、実は小学校5年の時に引っ越してきたK君も僕と同じく体が小さく、整列の時は先頭に立っていたはずだが、実は大人になった2人には共通点がある。それは、長年K君も僕も米国居住者ということだ。決して自分がビッグになったとは思わないが、体の小さな2人が巨大な米国の彼は西海岸、僕は東海岸で生活しているのは、実に面白い事実ではないか。
 今年で米国生活30年を迎える。オレゴン州に降り立ち、大陸を横断してニューヨークへやってきたのは1992年8月のこと。日本という小さな島国から25倍も面積がある大陸を空の上から見下ろし、米国の広大さに心が躍らせた。そう、何かが始まると。
 コロナ時代で旅行もままならぬ今、若かりし日々を1冊の本でも熟読するかのように、1ページずつめくり、過去の自分と対話する時間が持てるようになった。当たり前のように朝が訪れ、当然のごとく夜が迎えにくる。1日は足しても引いても24時間。急ぐもよし、のんびりするもよし、時は休むことなく歴史を刻む。今日も1本のヤクルトを飲み干しながら、もう少し背伸びをして、巨人に近づこうかと拳を握る。

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