【平野真紀】 カリフォルニア州知事は昨年10月、大小770本もの新しい法案に署名をし、その数百本が今年に入り施行された。新法の中には、時給15ドルへの最低賃金引き上げや家畜への十分な飼育空間確保、アマゾンなどの倉庫労働者にトイレ休憩などを妨げるノルマを課すことを禁じる労働者の権利保護強化など、全米初となるものも多い。
その中で、一番身近に影響を受けているのが、環境に有害な温室効果ガス「メタン」の埋立地での発生を減らすため、各家庭で出る生ゴミなどの有機廃棄物を分別し、コンポスト(堆肥化)することを義務付けた「法案1383」だ。日本帰国時、細かなゴミの分別に正直いつもてこずるが、その徹底ぶりは素晴らしい。私の経験では、ゴミ箱がない公園も増えていて、各自でゴミを持ち帰るのが当たり前になっていることに驚く。そんな日本に比べると、生ゴミ分別ぐらい簡単だろうと思っていたが、実際のところ、慣れるまでまだ時間がかかりそうである。
「CalRecycle」によると、生ゴミ、庭の手入れで出たゴミ、紙や段ボール類などの有機廃棄物は、カリフォルニア州の埋立地に捨てられるゴミ全体の半分を占めており、ここから出るメタンは、州全体の約20%に値するという。メタンはCO2よりも84倍強力な温室効果ガスだそうで、生ゴミのコンポストは地球温暖化対策になるとされている。カリフォルニア州は「法案1383」の下、2025年までに有機廃棄物の75%削減と、まだ食べられるのに捨てられる食品の最低20%の削減を目指している。
新法では、各自治体が住民やビジネスへの生ゴミ収集サービスを提供し、コンポスト施設でリサイクルしてバイオ燃料などに変え、有効活用するよう求めている。しかし、この準備がまだ進んでいない市も多いのが現状で、実際に取り締まるのは2024年からの予定だそう。
わが町のゴミ収集車は今日も、トラックの荷台半分を有機廃棄物用に区切り、ドライバーさんが手作業でビンを空にしていってくれた。集める方も大変だから、なるべく負担をかけぬようにきれいにまとめて、地球温暖化防止に努めたい。