極寒を吹き飛ばす熱い戦いがあっという間に終わった北京冬季五輪。ベテラン選手から若さみなぎる十代の選手が活躍し大会を盛り上げてくれた。4年に1度のチャンスを逃すまいとテレビの生中継にくぎ付けにさせられた。
 しのぎを削った選手たちが健闘をたたえ合うと気持がちいい。印象的だったのは、日本の優勝者にライバル選手やコーチが祝福した光景。札幌五輪で日本人初の金メダルに輝いたスキーのジャンプ選手をノルウェーの選手が肩車して練り歩いた50年前の名場面を思い出した。
 昨年の東京大会と同様にコロナに苦しめられた大会だった。五輪3連覇を狙った選手や金メダル最右翼が検査で陽性となり、参加できなかった。何百、何千時間を猛練習に費やし、4年待った晴れ舞台に上がる直前の悲劇。当人のみならず、努力した苦しさを知るライバル選手は複雑な心境だったことだろう。そして、同じ陽性でも陰湿なドーピング違反が今大会でも数件あり、大騒動にもなってしまった。いつになればなくなるのだろうか。五輪はほとんどの大会で政治や禁止薬物、競技の判定・採点で問題が起こる。それだけ世界の注目が集まる巨大な大会だと改めて認識した。
 北京は夏冬初の両五輪でホストを務めたことを誇り、開閉会式では雪の結晶の大きなオブジェを高々と掲げたが、実際には屋外で本格的な競技ができるほど降雪は望めないという。人工雪でカバーするしか他はなく、大会会場だけが白く染まったものの、周りの山は地肌や緑の木々が露出。前回の韓国・平昌もそうだったが、やはり冬季五輪は一面銀世界の雪が降る街が似つかわしい。次大会イタリアのミラノ・コルティナダンペッツォは雪国なのでうれしい。2度目の五輪開催を目指す札幌、1998年に成功を納めた長野など、日本の質のいい雪を求め外国からはるばるスキーヤーやボーダーが訪れてくれる。世界に大いに誇ろう。
 五輪は平和の祭典とうたわれる。だが国連の「五輪休戦」という理念はなかなか理解してもらえず、世界各地で紛争は絶えない。今大会も期間中から侵攻を巡る緊張が走り気が散った。そして閉会後すぐに戦闘となった。世界の選手が競技に専念できるのは平和しかない。祈るのみ。【永田 潤】

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。