全米日系人博物館(JANM)は9月23日、俳優で社会正義活動家のジョージ・タケイさんが、パートナーのブラッド・タケイさんと共に、現在の評価額で2100万ドルを超える遺産を同館に寄贈することを約束したと発表した。

 今回の将来寄贈を記念し、JANMの常設展「In the Future We Call Now Realities of Racism, Forging Democracy」に新設される9200平方フィートのギャラリースペースに2人の名前を冠する。

全米日系人博物館に2100万ドルを超える遺産を寄贈するジョ―ジ・タケイさん(左)とブラッド・タケイさん(写真提供=クリストファー・アポルト)

 ジョージさんは「JANMは、何世代にもわたる日系人の物語や経験を通して人類のレジリエンス(困難から立ち直る力)を伝えている。私たちの寄贈によって、これからの何世代にもわたり、この博物館が地域社会の人々が集い、学び、考え、より公正な未来のために闘い続けるための場であり続けてほしい」と語った。さらに「40年以上にわたって、同館は歴史と民主主義、社会正義のつながりを明らかにしてきた。第2次世界大戦中、多くの日系人が経験した人種差別や収容による心の傷をこれからの子どもたちが背負うようなことがあってはならない。JANMは多様性、コミュニティー、市民参加の力を体現している。今回の寄贈がJANMの使命を強化し、全ての米国人のために声を上げる力となることを願っている」と述べた。

 JANMのアン・バロウズ館長兼最高経営責任者(CEO)は「タケイさんの遺産をJANMが唯一の受益者として受け取れることを光栄に思う。ジョージさんとブラッドさんがわれわれの使命に寄せる強い思いと、2人が難しい公民権問題に向き合い続けてきた姿勢は、われわれの活動を今も支えている」とコメントした。

 ジョージさんとブラッドさんは1989年以降、今回の遺産寄贈を含めJANMに総額2250万ドルを寄付している。ジョージさんはJANMが設立された85年から同館に関わり、創設理事の1人を務めた。2000~04年には理事会議長を務め、現在も理事を務めている。15年には、生涯功労と公共奉仕に対する同館最高の栄誉「メダル・オブ・オナー」を贈られた。

 第2次世界大戦中、ジョージさんはアーカンソー州のローワー収容所と北カリフォルニアのツールレイク隔離センターに収容された。自身の体験を描いたグラフィック回想録「They Called Us Enemy」や児童書「My Lost Freedom」を発表し収容所での経験を後世に伝えてきた。

 17年には、自身が長年にわたり収集してきた資料をJANMに寄贈した。「ジョージ・タケイ・コレクション」には、資料を並べると約53メートルを超える収蔵品があり、そこには写真、書簡、脚本、受賞記念品、活動関連資料など、俳優や活動家としての幅広い業績を示す品々が含まれる。その中には、ローワー収容所に収容されていた時に父親が制作した彫刻、ジョージさんが日本の富士山登頂時に携えていた杖、ジョージさんが1984年のロサンゼルス夏季五輪に向けた聖火リレーで使用したトーチなどがある。同コレクションは、2017年にJANMで開催された企画展「New Frontiers The Many Worlds of George Takei」の基盤となった。

 同コレクションの写真は新常設展「In the Future We Call Now」の随所で紹介される。「Life in Camp」コーナーには、ローワー収容所で幼稚園のクラスメートと写るジョージさんの写真を展示。収容所での日常生活を写した写真群の一つで、全米10カ所の収容所内に幼稚園から高校までの学校が設けられたことを伝える資料として使われる。 

 「Hard Choices」のコーナーでは、ツールレイク隔離センターに送られた家族の例として、家族と写るジョージさんの写真を展示。「Onward」のコーナーでは、現在も社会の課題に向き合い行動している日系人の1人としてジョージさんを紹介し、JANMで行われた2人の結婚式の写真や、LGBTQIA+コミュニティーにおけるジョージさんの活動を取り上げる。

 今年3月には、第2次世界大戦中に米国の収容所に収容されたジョージさんと3人の日系人の証言を紹介する新たな「StoryFiles」4本を先行公開した。数時間にわたるインタビューの録音を基にしたデジタル展示で、革新的な技術により来館者が本人と会話しているような体験ができる。

 JANMは現在改修中で、2027年1月23日に再開館を予定している。改修された展示室では来館者が米国の歴史に新たな形で触れられるようになる。新たなStoryFilesは、第442連隊戦闘団の退役軍人、ローソン・イチロー・サカイさんのStoryFilesと共に、館内の「ヒラサキ・ナショナル・リソース・センター」および「ワインガート財団フォイヤー」に設置される。日系人収容所の生存者や退役軍人の体験を伝えその記憶を後世に残すことを目指す。

 今回の将来寄贈により、JANMの資金調達キャンペーン「Our Promise」で集まった資金は総額1億3500万ドルとなった。当初の目標額の2倍を超える規模となっている。

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です