2024年の大統領選挙に向けて中間選挙が州ごとに行われており、選挙戦が白熱化している。
 15秒から30秒ほどのTVキャンペーンコマーシャルが休みなく、機関銃よろしく打ち出される。その内容も最初はうそもあり、真実もありだったのが、投票日を1週間後に控えて「うそもあり、うそもあり」に変わってくる。
 私が帰化市民となり選挙権を得た頃は、早朝ということもあり投票所に行くと区域の選挙キャプテンが熱いコーヒーをくれ、クッキーやドーナツまで勧めてくれた。
 「これって選挙違反ではあるまいか」と落ち着かない気持ちで投票所を出てきたものだが、それを少しも悪びれず堂々とやっていた。中にはワインの箱を路上において、選挙運動員が「よろしくね」などと言いながら有権者にワインを手渡していたものだ。
 収賄! 米国市民の尊い権利をワイン1本で売っていいのか、と怒ってみてもごまめの歯ぎしり、「魚心あれば水心」である。
 公道でやるか、密室(?)でやるかの違いだけで、票を買うという行為に変わりはないが、彼らが選挙違反で逮捕されたという話もついぞ聞かない。
 聞くところによると前記の大うそコマーシャルも、真実でないことは分かっていてもテレビ局はこれを、真実ではないという理由で放映を拒否できないそうだ。局としても巨額の収入につながるならば直さら断れまい。念の入ったことに「私はこの内容を認めます」と立候補者自身の名前で断り書きが流れる。
 有権者はひたすら自分の目と耳を研ぎ澄ませて、自分の代理人を選ぶしかない。
 前大統領が、存在しない「票」を出してこいと腹心を恐喝し、いよいよ敗戦が明らかになれば「票が盗まれたのだから、不正があったと発言しろ。あとは共和党の議員で始末する」と無理難題。
 ワイン1本はともかく、これは何とかしてもらわねば、米国の錦の御旗「民主主義」が泣こうというもの。
 帰化市民になって得た権利、いや市民の義務として、40数年大切にしてきた私の清き1票まで、汚されてたまるものですか。(川口加代子)

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