昨年11月、わが家に黒猫が来た。
 以前から猫、それも黒猫を欲しがっていた娘が、猫のアダプトをあっせんする組織(Cats In Need)から譲り受けてきた。ただ今3歳。
 米国人は黒猫は縁起が悪いと思うらしく、黒猫でさらに大人の猫はもらい手がないようだ。娘が見つけた時は彼と他に小猫がいたらしいが、翌日僕と見に行ったときにはまだ残っていた。
 第一印象はちょっとすねた感じの暗い猫。もらってきて家に放すと、動物なら必ずするであろう各部屋の探検。警戒心たっぷりで、ちょっとした音でもピクッとする。結構大きく、僕の仕事机に前脚をかけて頭が机の上に出るくらい。
 前の飼い主のしつけが行き届いているようで、家具で爪研ぎすることは無く、カミさんが心配していたピアノも無傷。トイレも1回で覚え、初めての家飼いの猫(野良の相手はしたことがある)にしては短時間で慣れてくれた。爪切りだけはいやがるが仕方がないかな。またしつけのせいかひざに乗ってくることは無い。乗られるとうれしいとは思うのだが結構重い。
 最近は僕らになれてきたようで、カウチに寝っ転がっている横に座っても逃げださない。前脚でモミモミ(猫の習性で甘えている証拠らしい)した後にぴったり寄り添ってくる。
 寝相を見ると猫は柔らかいなとつくづく思う。くるりと丸まってドーナツになったり、四角い箱になったり。最近はさらに緩んで両手足を思いっきり伸ばしたりお腹丸出しで寝たり。それだけ信用されているのだなと、その緩みもうれしくある。
 なれるまではよく引っかかれたもので、僕や娘の手足は傷だらけ。今では甘がみをするまでになってきた。たまに穴が開くほどかまれることもある。痛い。
 僕ら家族はどちらかといえば仲が良いほうだが、猫が来てからは今まで以上に会話が増えたようだ。
 アニマル・セラピーというのがあるが、確かにストレスが緩んでくると思うのは単に気のせいだろうか。もらってきた娘ともらわれた黒猫に感謝である。(徳永憲治)

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です