われわれはなぜか中年期に入る頃からか、少しずつ「最近、年齢を感じるな」とか「もう若くないからさ」とか口にするようになる。子どもの頃に胸を弾ませたことや、学生の時に友達と夢を語り合った頃の自分はどこに行ったのか。しかし、実際に年齢で制限されることなどあるのだろうか。
 若い頃と同じようなスピード感や体力でできなくなることは、もちろんある。だが強い意志を持って目的を達成することと時間がかかることは全く関係がない。達成感や充実感は時間を超越したところにあるはずだ。つまり、われわれは若い頃と現在の自分を比較して、気持ちが負けてしまっているのではないか。そんな思いをつい先日あるロックコンサートで体験した。
 1980年にロックに目覚め、エレキギターをがむしゃらに練習し、バンドを作った。当時の憧れのロックギタリストたちは最高にカッコよくて輝いていた。その姿と彼らの音楽は脳裏に焼き付き、体の細胞に記憶されたリズムと旋律は、今でも魂を揺さぶり、起爆剤となっている。「Keep on Rockin’」。何があっても諦めない粘り強さと頑固ともいえる不屈の精神はロックから学んだ。
 そんなギターヒーローのマイケル・シェンカーが記念すべきデビュー50周年記念ツアーでニューヨークにやってきた。マイケルはドイツ人で、17歳の時にスコーピオンズと共にデビューし、その後UFOという英国のロックバンドに加入して世界的に知られるようになった。英語がうまく話せない中、精神的にも追い込まれアルコールやドラッグで窮地に陥った。しかし、僕がロックに目覚めた80年に、ソロバンドを率いて「神」という名盤を発表、数々の名曲名演を残した。
 その彼も今や67歳。しかし、全く年齢を感じさせないエネルギッシュでパワフルな演奏を1時間半休むことなく披露しファンを魅了した。終始、満面の笑みを浮かべ、所狭しとステージを動き回る姿は本当に神々しかった。ファンに「ありがとう!」を連呼し、ギターキッズだった僕が得た感動を42年後も全く同じように与えてくれた。そう年齢に制限なんてない、やりたいことは一生かけて続ければいい。ロックだよ、ロック!(河野 洋)

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