世界が注目するサッカーW杯で、熾烈(しれつ)な予選を勝ち上がった32カ国の男たちが、カタールで熱い戦いを繰り広げている。首都のドーハといえば、日本にとっては過去にW杯初出場をかけた大一番で勝ち切れず、「悲劇」と語り継がれてきたが、今大会の進撃で「歓喜」、さらには「奇跡」と称され、言葉がどんどん美しく輝いている。選手に感謝。
 1次リーグで日本は、ともに優勝経験があるドイツとスペインという強豪2国と同組となり、ファンは絶望の淵に立たされた感じがした。ところが、どっこい。その2国を死闘の末、倒してしまった。しかも同組1位で予選通過。勝ちっぷりが、あっぱれ。
 どちらも先制点を与えて心配をかけた上の逆転劇は、伝説になるに違いない。列島を沸かせるどころか、世界の人々から称賛され気持ちいい。
 W杯は五輪と同様にホスト国と時差があるため、深夜や早朝、勤務時間中に試合がぶつかるのは避けようがない。ここカリフォルニアでは日本戦は土曜深夜2時と平日朝5時、同11時だったため、観戦は大変だった。だが、どの国の試合もファンが寝る間も惜しまず生中継で応援するのは、万国共通の愛国心がそうさせるのだろう。
 毎大会、自国が敗退したらファンは目標を失い、他人事のように熱が冷めるものだ。だが、われらの日米はともに決勝トーナメントに勝ち進んだので、まだ楽しませてもらっている。日本はまた大どんでん返しを見せてくれそうで、期待したい。
 レベルの高い争いでは、微妙な判定が勝敗を分けることがある。だが、今大会ではVARというビデオ判定が採用され、日本に有利に働いた。スペイン戦ではボールがゴールラインを割った判定が覆り、その後の決勝点も認められた。ドイツ戦のオフサイドでも役立ち、最新のテクノロジーさまさま。
 初戦で殊勲を挙げた日本の指揮官は「まだ1勝に過ぎず、一喜一憂せずに…」と「勝ってかぶとの緒を締めよ」と、言わんばかりに自戒しているように映った。選手も異口同音。その冷静さは超一流の流儀と敬服させられた。だが応援する側は倣う必要ない。ゴールを奪えば大騒ぎし、失点すれば悲痛に声を震わせる。まさに一喜一憂。それでいい。(永田 潤)

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