つらつら思うに変身願望を持つ人って結構いるのじゃないだろうか。これという根拠はないが、1966年中ごろから放送されている「ウルトラ」シリーズが飛び飛びではあるが今も続いているというし、米国で再編集されパワーレンジャーとして放映された、原作の「スーパー戦隊」シリーズや「仮面ライダー」シリーズも変身物として現在進行形で放映されているようだ。原作者はもう亡くなったが漫画家の石ノ森章太郎。多才な人だった。
 これらは子ども向けの番組であるが、ストーリーの流れや見せ場は大人が好む「水戸黄門」シリーズと同じで勧善懲悪。さすが、黄門さまのように同じ時間に印籠を出して同じアクション時間で幕とはいかないが、子どもには人気がある。ところで変身ごっこなどやった人は多いのでは。
 当時の子どもたちが社会人になって変身願望はどうなった? さすが、へんし〜んはできないと自覚はすれど、一部の大人諸氏には願望は残っているようで、社会人のオンラインゲームの参加は結構あるようだ。
 ゲームの主人公に自分を重ね合わせてストーリーを楽しむ。ちなみに楽しむのはいいのだがゲームの作成会社は課金を目的としているから、それにはまって借金を作るのはダメ。
 最近はやりの映画「アバター」も一種の変身願望か。映画やゲームだけではなく、SF小説に夢を見る人も多いだろう。よくお邪魔する素人投稿サイトに掲載されている小説に、「異世界」物とジャンル分けされている作品類がある。現実世界ではありえない能力で新世界を渡り歩く。変身物の変形ともいえるかな。投稿者はプロファイル(ぼかして書いてある)を見るとコンピューター世代の学生や社会人が多いようだ。
 スーパー戦隊などの変身物は自分ではない誰かがヒーローであり、外から眺める存在。異世界物は自分が別の世界へ行って活躍する。これも小説だからどこまで感情移入ができるかで面白味も変わってくる。
 何はともあれ、変身も異世界も突き詰めていえば現実逃避。それがまたいい。(徳永憲治)

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です