数年前にも取り上げた話題だ。米国に長年在住するが、今でも時折、意味不明の英単語や表現に遭遇し困惑する。
Contronym(コントロニム)とは、正反対の意味を持つ単語を指す。例えば動詞としての「Overlook」。見逃す・見落とす、の意味の他に、見渡す・監視する、などの意味も表す。「私はあなたを『Overlook』した」は、実際に見たのか?見ていなかったのか?どちらか?。 文章の内容や前後関係で判断するとは思うが……。
「Scan」は、詳しく調べる、の他に、ざっと素早く目を通す、の意味もある。ある現場に到着して「Scan」する、はどちらか? 個人的に迷うのが動詞の「Pass」。試験に合格、などの意味だが、あるプロジェクトの提案書を見送る(湾曲的に拒否?)際にも「Pass」が使われる。
このコントロニムは、ジャニス言葉(Janus Word)、または、ジャニスの顔した言葉(Janus-faced word)とも言われる。発音はイギリス英語でジェイナス、アメリカ英語でジャニス/ジャナス/ジャヌスだ。日本語ではヤーヌス/ヤヌス(*とりあえずジャニスで統一)。由来はこうだ。ローマ神話のジャニスは、前後(左右)に反対向きの二つの顔を持つ。出入り口、初めと終わりを象徴する門や扉の守護神とされる。年の始め1月Januaryの語源らしい。
では日本語の相反する言葉は? 的確な例えか微妙だが、答える際の「結構です」。それでよろしい・問題ない、という肯定と、それ以上必要ない、という否定の意味もある。その場の空気を読んで判断か? 「会議出る」。会議に参加か?会議を退出か? 「適当」は、程よい感じ?いい加減な感じ? 相反する意味だ。
究極は「スモーク・フリー」のサイン。自由な・解放・気ままな「フリー」だから「喫煙」良しと思いきや、取り除いた・含まない・無し、の意味もあるから、煙無し=「禁煙」になる。
英語のみならず、未知な日本語表現でさえもまだまだたくさんあるし、落胆せずに新たな発見!と得した気分になるようプラス思考で今後も学び続けよう!(長土居政史)