あいさつす今年度年の理事一同

 小東京を拠点に、日本語でのサポートを必要とする高齢者のための奉仕を目的として文化クラスなどを開講するパイオニアセンターがこのほど、モンテベロのクワイエットキャノンで新年会を行った。

あいさつに立つフミ・スターク会長

 同センターは1969年に設立された会員制の非営利団体で、会員が高齢者であることに配慮し、コロナ禍による2年半の講座休止からの再開は注意深く行ってきた。昨年4月から一部を再開し、最近ではクラスも受講者も戻ってきつつある。新年会にはボランティアや講師、コミュニティーの代表などが集い、新しい1年への飛躍を期した。
 会長のフミ・スタークさんはあいさつで、「昨年の4月に再開したパイオニアセンターはコロナ禍の影響で会員の減少を見ているが、受講に戻ってきたシニアたちのうれしそうな顔を見て、今年は定期クラスに加えて、もっと交流イベントや文化イベントを増やしていきたいと計画している」と熱意を示し、年の理事一同を紹介した。

 スタークさんの前任として5年会長を務めた、南加日系商工会議所現会頭の竹花晴夫さんは、日系パイオニアセンターはシニアをケアするNPOであることを再確認し、「年を取ると健康に気をつけるために運動をし、頭をシャープにするために好奇心を持って学び、その上に徳を積まねばならないので、シニアは忙しい。私もシニアだが、われわれは元気なうちに徳を積んでいこう」とお互いを激励した。

乾杯するスターク会長(左から2人目)と来賓

 会場に集まった各教室の講師陣は、コロナ禍を乗り超えたパイオニアセンターの再生に、それぞれ意欲を示した。
 2月に再開した3年ぶりの写真教室は第2・4月曜日午後1〜3時に開講している。これまでの撮影旅行の記録写真などを説明しながら、講師の岡田信行さんは「僕の教室は、毎年秋の写真展を目標に、皆で楽しむために写真を撮っている」と話す。「例年はテーマに沿って撮影したり、撮影旅行に出かけたりしているが、今年は開講したばかりで、これからも受講者が増えると思うし、テーマはまだ決めていない。まだコロナの影響が残るため大きな旅行はできないかもしれないが、近くの植物園での撮影会などは行いたい」と話す。

 月に1回、第1金曜日の午前10時から川柳絵手紙のクラスを開講する森田のりえさん(とんぼ川柳主宰)は、新年会の会場に生徒の作品を展示した。「継続は力ですね。みんなうまくなりました」と話し、「年を取ったら、自分1人でも楽しめる、またそれを通じて人と交流できるような趣味は、生きがいにもつながると思う」と目を細めた。

あでやかな着物を身にまとい参加した着付けクラスのメンバー。右端が川田和子さん

 着付けクラスは山野流着装の川田和子先生が第1・3週土曜日午前9時半から行っている。参加者の年齢は不問。週末なので道路も混雑せず、平日働いている人も通いやすいので「ぜひ多くの方に、着物を楽しみにきてほしい」と受講を勧めている。5月には「こどもの日」の着物写真セッションも計画している。
 小笠原流煎茶道教授の山本秀教さんは、お茶にたずさわって50年。パイオニアセンターでも創始期の初代会長時代からクラスを継続している。第2・4金曜日午前9時半から指導している。「日系人の多いロサンゼルスで日本文化を大切にしていきたい」と、50年前と変わらぬ情熱で語った。
 この日の会場を飾った美しい新年のいけばなを提供した、池坊の南谷いずみさんは第2・4土曜日の午後2時半〜6時にいけばな教室を開講している。「このクラスは経験の少ない人、初めての人がほとんどで、道具がなくても参加できる。1回ごとに、自由に参加でき、2瓶(へい)生けて花を持ち帰ることができる」と説明する。予約申し込みは池坊のサイトに詳細が掲載されているという。昨年9月からクラスを再開したが「多くの人が戻ってきている」と話した。

川柳絵手紙のクラスを指導する森田のりえさんと、生徒の作品

 新年会はマセオ・ヘルナンデスとLA太鼓グループの演奏、アーク・サノのクラシック&ジャズ・カルテットの演奏を楽しんだあと、全員で「幸せなら手をたたこう」を合唱して閉会した。
 日系パイオニアセンターは米国社会との懸け橋となるため多岐にわたる活動を行っている。数多くの趣味や伝統文化のクラス、コンピュータークラス、健康に関するセミナーや運動、引退後の生活設計についての有益な情報提供にも力を入れ、コミュニティーの集いの場としての役割も果たしている。1人1人の高齢者が充実した生活を送れるための支援を行うことを使命とする。クラスは現在、上述の他、PC、シニア椅子体操、民謡踊り(豊春会)、刺し子などを開講している。また、パイオニアセンターでは同会運営のボランティアも広く募集している。クラス、ボランティアなどに関する質問や問い合わせはパイオニア事務所まで電話213・680・1656。(長井智子、写真も)

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