ちょっと前になるが、しばらくご無沙汰していたオペラを見に行った。
 LAオペラの「フィガロの結婚」。好きなオペラの一つだが、やはり生での演奏や舞台はいいものだ。パンデミック以来出無精になっていたので、本当に久しぶりの、楽しみだけのためのお出かけだった。
 今まではDVDかCD、たまには映画館での「MetOpera」を楽しんでいたが、劇場ではそれなりの面白さがある。
 オペラが始まる前の、劇場ロビーでのお勉強の時間。今回は指揮者のジェームス・コンロンがこのオペラについての解説をしてくれた。劇の楽しみ方を含め、時代的な背景などの説明はためになった。
 さて、面白いのはお勉強だけではない。何と言っても観客が面白い。常連さんとおぼしきカップルの男性がお連れの女性をあごの先で指図をしている。その近くではキッチリとドレスアップした男女が優雅に席に着き楽しそうに話している。かと思えば服装無頓着で毛糸の帽子を裏返しにかぶっている女性も。急いで来たのかこの時間に何やらお弁当らしきものを口にする人もいる。もちろん普段着の人たちもたくさん。年齢層も幅広く、年寄りだけの楽しみではないことを実感した次第だ。
 その後、席に着くわけだが、2階席の真ん中より少し後ろのところ、結構見晴らしがいい。もらい物のチケットだったが、いくらぐらいしたのだろう。考えるのをやめた瞬間だった。
 席に落ち着いた頃には僕らの席の周りも埋まり、劇が始まるのをゆったりと待つ(本当は今か今かである)。一番前の手すりのところの席で何やらトラブっているようで、どうやら席番号の2階と3階を間違えていたようだ。こういった時のチケット関係の「あるある」の話。
 劇が始まると僕らの隣の男性の反応が素晴らしい。本当に楽しんでいると、体全体で表現しているようだ。普段ならうるさいとしか思えないのだろうが、こちらまで楽しくなってしまった。
 たまには楽しみだけの外出もいいものだと思ったオペラ観劇であった。(徳永憲治)

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