広島で始まったG7会合。今年は日本が議長国を務める。議長国として隣国・韓国の尹大統領も招くことになった。韓国は前大統領の文在寅氏が戦前の従軍慰安婦問題や徴用工の補償を巡って反日政策を取り、日韓関係は戦後最悪と言われるまでに冷え込み悪化した。北朝鮮との親和を目指す基本政策からだろうが、国民の一部に根強い反日感情を政権維持の一助にしたのだろう。
 戦後、日韓親善は長年の課題であったが、1965年国交正常化に伴う「日韓請求権協定」により、日本は韓国に計5億ドルの経済協力を行い、過去の植民地支配への賠償問題にケリをつけ、お互いに協力しあって国の経済発展に尽くそうという協定である。この協定は「不可逆的」と表現され、請求権の最終決着とされた。
 ところが元徴用工の訴えで韓国大法院(最高裁)はこの請求を認めた。賠償問題は解決済との立場を取る日本政府はこの判決に強く反発し、対韓輸出規制を行い首脳の往来は絶えた。韓国で被告企業の資産が差し押さえられ、日韓関係は戦後最悪といわれるまでに冷え込んだ。
 韓国大統領の任期は5年間、先の大統領選で尹大統領が選ばれ新大統領は強い決意で韓日関係の修復に舵を切ったのである。背景には北朝鮮の度重なるミサイル発射と核開発への危機感があり、それには米・韓・日の連携による安全保障体制が不可欠との判断がある。
 2007年、米下院で旧日本軍の「従軍慰安婦」の非難決議が採択された。当時、南加日系商工会議所の会頭であった私に、LAの韓国TV局からこの件について早速インタビューの申し入れがあった。感想を求められて「国と国はその時々の国際情勢により仲の良い時も悪い時もあります。母国同士が対立してもLAに住む私たちは日々住民として同じLAに住みお互いにビジネスをしています。日本と韓国は地理的にもっとも近い隣国です。なんとか母国同士が努力して関係改善を図り、お互いに協力し合えば同じアジアの隣国として共に発展するでしょう。私はその日が1日も早く来ることを願っております。」と答えた。
 今回の尹大統領の融和政策に日本が応じ、共に発展する日が来ることを心から願うものである。(若尾龍彦)

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