先週末、日本の音楽グループ「YOASOBI」や「新しい学校のリーダーズ」、リナ・サワヤマをはじめ、アジア系ミュージシャンが多数出演する音楽フェスがパサデナで開催された。若いお嬢さんのいる友人が「それに娘が行ってきた」と言うものだから、興味津々「それでお客さんもアジア人ばかり?」とラインで送ったところ「はい、結婚式のゲストはアジア人ばかりで、欧米人が1組いらしただけです」という返事。きゃぁ、やってしまった! 日本の友人への誤送信だ。律儀に答えてくれたこちらの彼女からは、息子さんの結婚写真を見せてもらっていたところだ。
 「ごめん、実はね」と質問の背景を説明すると、「あ、その音楽フェス、日本でも話題になっていました」、さらに「唐突な質問だとは思いましたよ、アジア人という表現にも違和感があったし」と言う。それからしばらく2人で「アジア人」をネタに会話が弾んだ。
 彼女いわく「日本人はほぼ単一民族のせいか、中華系や韓国系と一緒にされたくない人がやたら多くて、まずそこから分別したがる」。ほぼ日本人と分かっているお客さんのことを、わざわざ「アジア人」と呼べば、それは確かに変に感じたことだろう。
 一方の私は、気が付けばアジア人と呼ばれることに全く抵抗を感じない。AAHHPIはアジア系米国人、ハワイ原住民、太平洋島しょ国民を包括した大きな区分けだが、このマクロな集団に身を置くことも、それなりに居心地が良さそう。昔は「江戸っ子」だったが今や「アジア人」だ。
 今日から始まる二世週祭で、私が「何をおいてもこれが1番!」と推すのは、1街の路上で踊る「Bambutsu No Tsunagari」である。吸い込まれそうな青空を見上げ、音楽に酔いしれ、集団で踊るのは最高に気持ちがいい。当初は「こんなの盆踊りじゃない」と面食らったのに、今では日本の盆踊りに勝る体験だと気に入っている。
 音楽やエンターテインメントの世界では国境の壁が薄くなり、アジアという大きな一つのパワーになって若者を突き動かしている。パサデナの音楽フェスに投げ掛けた質問「それでお客さんもアジア人ばかり?」の答えは「やっぱりアジア人が多かったです」だったが、アジア人以外のお客さんを吸い寄せる時代だって、きっと来ると思う。(長井智子)

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