米国に伝わった数ある日本祭りの中で最大規模を誇り、かつ少数民族の祭りとして最も長い歴史を持つ二世週祭。第81回の今年は先週末に全日程を終えた。
 同祭は新型コロナ禍で2年続けて中止となり、その影響がまだ残っているためなのか、再開して2年目の今年も何か物足りなさを感じたのは私だけだろうか。
 祭りの中止は、日米開戦により日系人が各地の収容所に送られ、祭りを継続できなくなった時以来のことだった。戦争による中止の時は戦後、数年を経てかつての生活を取り戻した人々が祭りを再開させた。今では日系3世、4世へと移った祭りの担い手たちは戦後に習って気を吐いたものの、2年の中断がまだ影を落としているようで、昨年に続く今年も来場者数は芳しくなかった。
 祭りに参加する日系2世兵士の姿は年々減っている。第2次大戦で「GO FOR BROKE」の合言葉の下で勇猛に戦って生き残った彼らの多くがすでに亡くなり、もはや祭りのパレードで行進する姿を見ることができないのは残念だ。今年のグランドパレードに参加した442日系人部隊出身の退役軍人はわずか1人だった。
 今年は天候が味方せず、前代未聞のハリケーンのため主催者はいち早く最終日の全ての行事中止に踏み切った。「しょうがない」と諦めた人もいたが、嵐の去った数日後、音頭と閉会式を行うことを決め、1週間遅れでささやかに実施した。盆踊りが大好きな日系人たちは大喜び。200人ほどが集まり、踊り狂った。その様子を見て、「この夏、お寺やコミュニティーセンターを回って、すでにさんざん踊ったのでは…」と聞きたくなるくらいだった。
 個人的に楽しめたのは、文化イベントだった。二世週祭は夏祭りだが、日本の伝統文化を紹介する文化祭の側面も持つ。やはり、ベテランの先生による作品やデモンストレーションは素晴らしく感心した。
 二世週祭の目的は、日本と日系米国人の豊かな文化を多人種で構成する南カリフォルニアに住む多様な人々に紹介すること。祭りを訪れた米国人が日本の伝統文化に触れ、それを楽しむきっかけになればうれしい。(永田 潤)

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