私が勤めるシカゴ日系米国人サービス委員会の定住者会で行われる月一回のソーシャル・プログラム「日本語で話す会」。9月の集まりに日本からにぎやかなゲストを迎えた。
 愛知県は名古屋城下に居を構える若い女性ばかりの、プロのチンドン屋「べんてんや」のメンバー4人、いずれも若くてチャーミングな「きれいどころ」が華やかな着物姿で現れると、会場は花が咲いたような明るさになった。

 日本を離れて米国に渡った時期にもよるが、集まった会員の中にはチンドン屋を目の当たりにしたことのない人もいて、一緒にランチを食べながら、みんなちょっと興奮気味だった。
 食事の後は、かねと太鼓を組み合わせたチンドン屋のシンボルでもあるチンドン太鼓をはじめ、ゴロスと呼ばれる太鼓、サキソフォン、トランペットなどの楽器を演奏して会場を練ってくれたが、懐かしい日本のメロディーに思わず涙ぐむ会員も。最後はみんなで写真撮影をした。
 この明るくてパワフルなお客さまを連れて来てくれたのは他でもない「磁針」仲間でニューヨーク在住のプロデューサー河野洋さんだ。一行は映画監督の堀江貴さんと一緒に、これから中西部シカゴを始点として、8州を通過しながら一路西へと向かう。米大陸を横断するルート66をチンドン・ガールズ4人が練り歩き、途中の町々で音楽と共に日本の文化を紹介しながら、終点のカリフォルニア州サンタモニカまで旅をし、それを堀江監督のカメラが追うロード・ムービーを制作するのだという。
 その出発点として私たち定住者会を選んでくれたのだが、「磁針」がつなぐ出会いがなければ、チンドン・ガールズとシカゴの高齢者グループとの交流もなかっただろう。
 飛行機による旅が普通になり、国道指定が廃止された今も、ルート66の人気は根強く、「日本ルート66アソシエーション(後藤敏之代表)」という同好会もあるそうだ。西海岸へ夢をはせてルート66を旅した昔の若者たちの熱い思いが、2023年の今も、愛好家の心をとらえて離さない。
 リーダーのスージーさんをはじめとする「べんてんや」さん一行のサンタモニカまでの2週間の旅が、安全で、実りあるものでありますように。(川口加代子)

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