憎悪犯罪で刺殺されたイスラム教徒のワディア・アル=ファミーユくん

 イリノイ州シカゴ近郊で発生したパレスチナ系米国人少年殺害事件を受けて、日系米国人市民同盟(JACL)と全米日系人博物館(JANM)が19日、それぞれ声明を発表した。
 JACLは、イスラエルとハマスの軍事衝突が勃発して以来、イスラム教徒およびアラブ系米国人、ユダヤ人のコミュニティーに対する暴力の脅威が増加しているというFBIやその他の法務執行機関による分析を鑑み、犯人の行動は中東の和平を促進するものではなく、ここ米国でも過激派の憎悪をあおるものだと糾弾した。こういった行為は第2次世界大戦中の日系米国人の大量収容のように、標的とされたコミュニティーを服従させ傷つけるだけだとし、「国家としてこれ以上の犠牲者を出すわけにはいかない。JACLはこれからも、これらのコミュニティーが直面する課題についての話し合いに参加するつもりだ」と述べた。
 JANMのアン・バロウズ館長は「われわれは、この事件と中東での紛争をきっかけに米国で勃発した反イスラム・反ユダヤ活動に悲しみ嘆いている」と述べ、恐怖と不安が結びつくと、個人に深刻な害を与え、地域社会に継続的なトラウマを植え付け、人に深い傷を刻み憎悪の言葉や暴力を助長すると訴えた。憎悪犯罪は、いかなる状況においても許されるものではないと強調し、「われわれはこの事件によって家族が影響を受けている全米のコミュニティー、特にユダヤ系、パレスチナ系、イスラム系の米国人コミュニティーの人々とともに立ち上がりたい」と連帯の意志を示した。
 事件は14日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘を背景に発生し、シカゴ郊外でイスラム教徒のワディア・アル=ファミーユくん(6)と母親(32)が住む家に大家の男(71)が訪れ、軍用ナイフでワディアくんを26回刺し死亡させた。母親も10回以上刺され重傷を負っている。
 バイデン大統領は19日、国民向け演説で同事件に触れ米国に広がるイスラム憎悪に対する断固非難を訴えた。

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