海外日系人大会にZoomで参加した。視聴したのは一部だけだったが、日本に行かずともライブで様子を垣間見られたことは有意義だった。おかげで今まで意識していなかった世界を身近に感じた。その世界とは、南米や中米にいる日系人のことだ。
パネリストの中に、ロサンゼルスから訪日した入江健二医師がいた。日本語の高齢者施設を再建しようとする「高齢者を守る会」の代表として話した。海外に長く住み、段々年を取っていくと、習得したはずの第2外国語が薄れてしまい、結局母国語に戻ってしまうという。ではいずれは私も日本語オンリーに?
自分のことを想像するのは難しいが、立場を入れ替えて考えてみると、日本語を母国語としない高齢者が日本で医療や介護、社会サービスを必要とした場合、スペイン語やポルトガル語での対応や、母国の食事や文化に配慮した高齢者施設が必要となるかもしれないという視点は新鮮だった。ただし日本の社会がこれらのニーズをどの程度理解し、また日本語を母国語としない高齢者が実際にどれくらい存在するかは分からないと思った。
ロサンゼルスには日本人の在留者、日本人の永住者、日系米国人がおり、それぞれ活発なコミュニティーを形成している。ここでは日本語を話す高齢者のための施設の再建も、夢物語ではない。このような日系の力は私が以前住んでいたニューヨークや他の地域では考えられないことだ。
実は先日、日本から来て日の浅い友人から、「でも、せっかく米国にいるのだから、わざわざ日本人や日系人の文化と交流する必要はないのでは?」と言われた。異文化を吸収したいというその気持ちも理解できるが…と自問してみると、私が「日系」に感じる期待や仲間意識は、私自身が「米国の永住者」であると自覚していることに由来すると気付いた。
だから、日系人大会に参加する、世界に散らばる同朋に興味を感じたのだろう。いつかペルーやブラジルにいる仲間を訪ねてみたいという気持ちになった。
パスポートの色は赤色でも、私の心は果たして何色なのだろう。そしてそもそも「国」や「国境」が必要なのかという問いを、最近、国同士の紛争・戦争が絶えない世界を見て深く考えるようになった。(長井智子)
