70周年を迎えた東宝映画の怪獣ゴジラ、今年12月1日に37作目となる「Godzilla Minus One」が全米公開され、2500館以上の劇場で上映されている。売上も3400万ドルを越え、本年度55位につけている。しかし日本映画が売れていると言っても、はるか上には6億3600万ドルの売り上げを誇る「Barbie」がトップに君臨しており、その差は歴然としている。
そもそもゴジラは米国がビキニ環礁で行った水爆実験が発端で目を覚ました怪獣だ。戦争が核というモンスターを生み出し、見えない放射能で被ばくしている被害者は、原爆、水爆、原発を含めて数え切れないほど存在している。
核といえば、今年7月に公開された「オッペンハイマー」も空前絶後の爆発的ヒットを記録、2600万ドルで今年第5位の興行実績を残している。日本では物議を醸し出す内容で、日本での解禁については賛否両論だった。しかし、師走に入って配給会社ビターズエンドが、24年に日本で公開することを発表したその日は12月7日、そう、まさに真珠湾攻撃が行われた日だった。
さらに、同作の劇場数は7日まで101館だったのに、8日にはその数が1316館と13倍に急増。週末(金~日)の売上も前週の1万7095ドルから、約21倍以上の36万2675ドルに跳ね上がった。これは意図的に操作されていることは間違いなく、配給会社ユニバーサル・ピクチャーズによるマーケティングの手腕とも言えるだろう。
また映画のみならず観光産業でも、その効果が如実に出ている。マンハッタン計画で重要な役割を担ったテネシー州オークリッジとニューメキシコ州ロスアラモスでは、コロナ収束も理由と考えられるものの、オッペンハイマー効果も間違いなくあり、これらの都市の観光客数は昨年に比べて今年倍増しているというのだ。そういえば、以前、旅行博でチェルノブイリ原発事故地ツアーを宣伝する旅行会社を見かけたことがあった。
核兵器廃絶運動を横目に、「核」がエンターテインメント、観光ビジネスにも影響力を及ぼしている。核々しかじか。(河野 洋)
