12月初め、夫の郷里高知で縁あって訪れたのが、赤岡の「冬の夏祭り」だ。
高知龍馬空港の東に位置する赤岡は、面積わずか1・64平方キロメートル。一時は日本で最も面積の小さな地方自治体だった赤岡町だが、平成の合併で香南市赤岡町となった。古くは長宗我部水軍の拠点、江戸期には参勤交代や沿岸航路の宿場町として栄え、あちこちに史跡碑が建っている。
特産品は、イワシの稚魚である「どろめ」。大杯で酒を豪快に飲み干すことで知られる「どろめ祭り」は有名だ。ほかに、絵金こと絵師金蔵の描いた芝居絵びょうぶのあることでも知られ、年に1度の「絵金祭り」では、絵金の描いたびょうぶ絵が商家の軒先に飾られるという。
そんな祭りで知られる赤岡で催される冬の夏祭りは、これまた、ユニークなものだった。会場は、商店や江戸期の建物の並ぶ横丁沿い。周辺の民家から出た古物に工芸品、食べ物、飲み物、農産物などの店が道の両側に並ぶ。和紙原料「こうぞ」の皮剥ぎ体験があるのは、土佐和紙産地の高知ならではのこと。餅まきや綱引き、バナナのたたき売り、仮装コンテストといったたくさんの昭和レトロのプログラムでにぎわったが、特に目を引いたのが路上のあちこちに置かれたこたつだった。
畳2枚の上にこたつ。それが、路上に幾つも設置され、家族や友人、時には知らない人同士もが靴を脱いで上がり込み、購入した思い思いの食べ物や飲み物をにぎやかに楽しんでいる。冬は雨の少ない高知だから、そして大勢で飲んだり食べたりする「お客(宴会)」文化の根付く土地柄だからこその企画だろう。
会場近くには、絵金のびょうぶ絵23点を収めた絵金蔵(えきんぐら)もあり、祭りボランティアの勧めで訪れた。山内家重臣のお抱え絵師が、贋作(がんさく)事件に巻き込まれて城下を追放され、赤岡の酒蔵をアトリエに商家の求めに応じて神社大祭用に制作したという芝居絵びょうぶ。極彩色のそれらは、おどろおどろしくも迫力に満ちている。これらが商家の軒先に展示されてろうそくの灯の下で鑑賞されるという7月の絵金祭りに来てみたいものだ。
赤岡は、フレスノの姉妹都市高知市の郊外にある。(楠瀬明子)
