日本での元旦は、高知の浜で初日の出を見て穏やかに始まった。しかしその夕刻に能登半島で大地震が起きると、翌日は羽田空港の航空機衝突と続き、2024年は驚くほど緊張したスタートとなった。
 さて、夫が日本のウェブサイトで見つけた物を購入しようとして詐欺に遭ったのは昨年初めのことだった。福岡の義弟に銀行振り込みを依頼し、郷里高知のいとこには品物受け取りを頼んだものの、商品は到着しないまま。振り込み先のK銀行にはシアトルから早速メールで詐欺被害を報告したが応答なし。運が悪かったと諦め、義弟には迷惑をかけたことをわびながら後日返金した。
 ところが秋になって、義弟に銀行から連絡が入った。受け取り口座の名義人が詐欺犯として逮捕され、銀行は犯人の口座を凍結したとのこと。被害回復分配金の申請をすれば、犯人口座の残金から被害の割合に応じて被害者へ返金されるという。「ひょっとしたら、お金が多少なりとも戻ってくるかもしれません」とのメッセージが義弟から届いた。
 半信半疑でいたところ、年末に再び銀行から通知が届いたという。「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律」に基づき、被害回復分配金の振り込みをいたします、とのこと。差出人は、K銀行管理部コンプライアンス統括グループ・マネーローンダリング等金融犯罪対策チームとある。私は日本にそのような法律があることも、銀行にそのような部署が設立されていることも知らずにいたので驚いた。同法は08年から施行されているというから、日本の振り込め詐欺は既にそれまで多くの被害者を生み出していたに違いない。そして今もなお続いているのだ。義弟の口座に振り込まれたのは、被害額の30パーセントほど。とはいえ、諦めていた金だ。届いた金を夫は義弟と折半し、詐欺騒動は一年越しで決着した。夫のように日本の振り込め詐欺に簡単に引っかかる読者はいないと思うが、ご参考までに。
 大災害・大事故から1週間余り。連日の救出・復旧作業や事故原因究明を報じる紙面に読み入る日々が続いている。(楠瀬明子)

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