米国ではおおみそかに「カウントダウンパーティー」を開きどんちゃん騒ぎで新年の幕開けを祝うが、新年会の風習はない。一方の当地日系社会では年が明けてから毎週末、次々とさまざまな組織が新年会を行う。2月も半ばに入ったというのにまだ開いており、あと1カ月ほど続くと見られ、日本から赴任したばかりの人はその期間の長さに驚く。日系人も「SHINNENKAI」と題して、われわれに負けないくらい各地域で新年を祝ってくれることが日本人としてうれしく思う。
 新年会がこれだけ長く続くのは、日本との関わりや日本文化の団体が多いということ。非営利団体を中心に交換学生や姉妹都市などの日米交流や、書道、茶道、舞踊、文芸、武道など文化の伝承のために汗をかく同士が昨年の活動を振り返り慰労したり、親睦を深め今年1年の活動に向けて結束する点で意義がある。活動はボランティアに支えられていることが多く、皆さんの献身に頭が下がる。
 日本は今年の元日に能登半島地震が発生し大地震と津波に襲われた。私が羅府新報の取材で参加したほとんど全ての新年会では犠牲者に黙とうをささげた。募金活動も行われ、被災地の1日でも早い復興を願う人々の姿があった。
 2020年に始まったコロナ禍は日系諸団体にとって痛かった。活動の中断を余儀なくされ、退会した人も少なくない。集会や講習会、お稽古はズームに頼ったが、昨年ごろから徐々に活動を再開させた。やはり対面で、実際に顔を合わせて行った方がずっといいと、参加者が口々に言ったことを思い出す。高齢者にとってコロナ禍の2年から3年のブランクはとても大きく、健康を害したり運転をやめたため催し物に来られなくなった人もいて、胸が痛む。
 日系社会はここ十数年、高齢化による後継者不足が危惧されてきたが、これまで長い間、会長や代表を務めてきた人が高齢で職務をこなせなくなり、ようやくこれまでためらっていた若い人が引き継ぐようになってきたことは、明るい兆しと言えるかもしれない。中でも、日本や日本文化、先祖の出身県を愛する日系米国人に代替わりするのは素晴らしいと感じる。若い人が率いる新年会を楽しんでほしい。(永田 潤)

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