このところ、大谷選手と水原氏のことが頭から離れずにいる。言うまでもない、韓国での対パドレスの開幕戦後に報じられた違法賭博の疑惑だ。水原氏の解雇の報に続いて、さまざまな情報が次から次へと伝えられた。その一つずつに専門家から一般のファンまで、大勢の人々がコメントする。そしてついに、大谷選手自身が記者会見で何があったかを説明した。話すほうも、聞く方もつらい会見だった。けれど残念ながら、これで一件落着というわけにはいかないだろう。全容が明らかになり、すべてに決着がつくまで、心の動揺と混乱は収まりそうにない。
 この事態を、大谷選手の米球界への貢献を信じているファンとして、そして、米国に生きる日本人としての誇りと勇気を2人からもらってきた者として、いったいどう受け止めたらいいのか。動揺と混乱に突き動かされるまま、悲しくも、やみくもに新しい情報やコメントを追っている自分がいる。
 最大の関心事は、この賭博疑惑の全容が解明されたあと、大谷選手がいったいどうなるかということだが、記者会見で述べた内容が1日でも早く証明されることを祈りつつ、今はプレーに専念してほしいと思っている。
 水原氏については、ふと目にしたアーサー中根氏の言葉が多少なりとも心を落ち着かせてくれた。小東京のワンマンバンドとして知られる中根氏は、40年間プロの日本語・英語翻訳者として働いた者として、大谷選手がインタビューを受けるたびに、水原氏の素晴らしい仕事に心から敬意と感謝の気持ちを抱いてきたという。「通訳者として、あなたは世界で最高の仕事に就いた。おそらく世界で最も注目され尊敬されているアスリートに仕えてきた」「あなたが人生を正したら、人々はきっと歓迎してくれるだろう」
 大谷選手と水原氏を慕ってきた人の率直な気持ちを示している言葉だと思った。水原氏には復帰して、再び通訳として活躍するよう祈りたい。
 今はいたずらに仮説や憶測に振り回されることなく、中根氏と共に、心を強く持って、事態の進展を見守るようにしたいと思う。(長島幸和)

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