起業家として多くのスタートアップ企業を経営した後、出家して第二の人生を歩んでいる小野龍光さんのお話を聞きました。本来であれば龍光僧侶と書くべきですが、親しみを込めて龍光さんと書きます。彼の最初の一言が衝撃的でした。「私はけさのようなものを着ていますが、僧侶コスプレのハゲ坊主の言葉だと思って聞いてください」と言うのです。出家のために財産も人間関係も全てを捨てて、自分の運命を生きようという姿勢が、あっぱれだと思いました。
 龍光さんから教えてもらった、心穏やかに人生を過ごすコツを紹介します。誰にでもできる四つのことです。まずは早起きをすること。人間は忘れる動物なので、大切なルーティンは朝一番にすべきだという考えです。次に散歩をすること。朝の日光を浴びてできるだけ多くの自然に触れることが大切です。そしてあいさつをすること。ついつい感情のない決まり文句のあいさつをしてしまうものですが、相手を丁寧に見てほほ笑みながら「おはようございます」と言うのが、本来のあいさつなのでしょう。最後に掃除です。身の回りだけでなく、目についたゴミも拾い、きれいに掃除し整頓することで、新しい1日を迎える準備ができるのだと思います。
 私たちの体、心、遺伝子はこういった当たり前の人間の行動を前提に進化してきたことを思い出させます。龍光さんが伝えるのは、本来の人間としての生きる実感です。朝起きた時に呼吸をしていること、太陽の暖かさ、木々の美しさ、草花の匂い、ご飯を分け合える幸せに感謝して毎日を過ごすことです。全ての現象が大切な一瞬として、生きていることを実感することです。四つのコツは、難しいことではなく誰でもできることです。自分を思い、相手のことを思い、実践を重ねることが、自分自身の心を穏やかにしハッピーを感じるようになるのだと言います。
 私たちは当たり前のように毎日を過ごしていますが、本当は食べることも、息をしていることも、回りには愛する人たちがいるということも、奇跡的な出来事なのだということを学びました。(アサクラ ユウマ)

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