パリ五輪女子ラグビー(7人制)は、米国が瀬戸際の劇的逆転トライ&コンバージョンで格上のオーストラリアを退け見事銅メダルを勝ち取った。1924年2度目のパリ大会にて男子(15人制)が金メダル獲得以来、100年振りに米国にメダルをもたらした。
 ネットの再生ハイライト・ビデオのコメントは多くが「初めてラグビーを見てこんなに興奮するなんて」「感激して泣いた」「私もやってみたい」―などだ。
 注目すべきはIlona Maher選手。日本語表記は「イロナ・マーハ」とあるが、自らSNSで「苗字のh(エイチ)は発音せずに『イロナ・マー』よ」、と発信。身長178センチ、体重91キロの恵まれた体格の上、快足でタックルにくる選手をハンドオフ(手のひらで相撲の張り手に近いプレー)で突き飛ばす。
 幼い頃からホッケー、バスケットボール、サッカーなどのスポーツをこなし、高校3年生の時、ラグビー選手だった父親からの影響で始めた。水が合ったのかすぐさま上達し、大学でも続け頭角を表し、地道な努力が実り2018年には米代表デビュー。東京五輪そして今回パリ五輪でもプレーした。
 チームの核となるパワフルな逸材選手のみならず、明るく気さくなキャラクターで人気を博す。コロナ禍の東京五輪中、選手村生活内情をシェアした短尺動画SNSのTikTokを、パリ大会中も続け、ラグビー関連舞台裏の他、応援する愛しい家族や仲間、姉妹と街散策やカフェで朝食など、生の五輪実体験を紹介した。
 「一般社会やメディアによる理想の外見的容姿の固定観念を打破し、自分のありのままの体型やサイズに自信を持ち、受け入れて、プラス思考で愛しましょう」という「ボディ・ポジティビティー」の浸透に貢献。体格に悩みがちな多くの若者たちを救い、夢と勇気と希望を与えてくれる。
 激しいコンタクト・スポーツだが、口紅をつけてプレーし女性らしさも率先して表現する。イロナ選手は人懐っこく、好感度、自虐ネタを含めたユーモアセンスも抜群だ。TikTokフォローワーの数は230万人、インスタグラムは370万人を誇り、世界で最も人気あるラグビー選手とされる。ラグビーファンが増えてうれしい限りだ。(長土居政史)

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