新女王に指名されたルックさんを取り囲み、祝福するプリンセスたち。これから1年、全員で日系社会の代表としての責務を担う活動が始まる

ファーストプリンセスに選ばれたミーガン・アユミ・ミヤモトさん

 新女王は日系社会の根底にある価値観「おかげさまで」を軸に、過去の世代への感謝と未来への責任を語った。今後は、祖父母の足跡や地域活動から培った思いを胸に、医療分野での経験を生かし、小東京に温かさと支えを届けたいと誓った。 (長井智子)
 戴冠式の冒頭、二世週祭財団のヘレン・オオタ実行委員長はあいさつに立ち、今年のテーマ「感謝」を再確認。1934年に祭りを創設した2世世代への敬意と、長年支え続けてきた地域社会への感謝の思いを込めた1年とする決意を述べた。

司会の息もぴったりのデイビッド・オノさん(左)とタムリン・トミタさん

 今年は二世週祭で初代女王とプリンセスが選出されてから90年に当たる。現代の女王候補7人は、家族や友人知人の大きな声援を受けながら、和装やモダンなステージ衣装で日舞やスピーチを披露した。司会は女優で元二世週祭女王のタムリン・トミタさんと、ニュースアンカーのデイビッド・オノさんのコンビが、ユーモアを交えて候補者の緊張をほぐしつつ、イベントを盛り上げた。エンターテインメントには「タイコプロジェクト」が出演した。
 ショーの最後にガーデナ・イブニング・オプティミスト・クラブ推薦のキミ・ルックさん(25)の名前が高らかに呼ばれ、新女王が誕生した。


新女王「寄り添う気持ち大切に」
感謝と責任、家族の歴史

質問に笑顔で答えるルックさん

 戴冠式では恒例のコーナー、事前に内容を知らされていない質問にその場で答えるインタビューの場面で、ルックさんは「コミュニティーサービスの意味と重要性を同世代にどう説明するか」と問われた。ルックさんは日本語の「おかげさまで」という言葉を紹介し、その英語の意味を「今の私があるのはあなたのおかげです」と説明した。この言葉には、過去の世代が払ってきた犠牲と、そのおかげで現在の世代が得られた機会への敬意が込められているという。そして、現世代には「未来をより良くしていく責任がある」と強調した。
 ルックさんの回答は日系米国人コミュニティーに根付く文化的価値観である「過去の世代の貢献への感謝」と「奉仕の精神を未来へ引き継いでいく義務」を浮き彫りにし、日系社会を代表する女王の資質を観客に印象付けるものだった。

2025年度の新女王に輝き、他の候補者から祝福され笑顔のルックさん

 ルックさんは4年ほど前、亡くなった祖母の写真や文書を家族が買ったスキャナーでデジタル化していた時にそれまで知らなかった祖母の一面に触れて、コミュニティーと家族の歴史への関心が深まったという。祖父は戦時中、マンザナー収容所内で医師を務め、戦後、全米日系人市民同盟(JACL)の大会で祖母と出会った。2人は小東京の1街とセントラル街の角で放射線診療所を開業した。二世週祭は家族にとって世代を超えて大切な祭りであり、家族全員の思い入れが強い。ゴー・フォー・ブローク全米教育センターが後押しする若者の活動「トーチベアラー・プログラム」に参加してからは、「どんどん世界が広がった」と、日系社会とのつながりを振り返った。

喜びの笑顔を見せる新女王ルックさんと両親

 ルックさんの母アリサ・ワタナベさんと父のネーサン・ルックさんは、娘の名前が呼ばれた時に「驚くと同時に感激した」と語り、「審査員が娘の資質を認め、努力が報われたことをうれしく思う」と話した。また、娘の立候補の決意には、ゴー・フォー・ブローク全米教育センターのミッチェル・マキ館長の奨めがあり、同氏が娘に自信を与えてくれたと話した。

 ルックさんはマサチューセッツ大学ボストン校で運動学を専攻し、生物学を副専攻。現在は、医療リハビリテーション技術者、また心臓専門クリニックの医療助手として勤務し

笑顔で司会者と受け答えをするミカ・フミヨ・メグミ・ジョーさん。ミス・トモダチに選ばれた

ている。女王としてのビジョンを尋ねられ、「医療分野の経験から、人に寄り添う姿勢や共感する心を培ってきた。患者さんにも、地域の方々にも、支えと温かさを届けたい」と語った。また、「小東京の本質を変えることなく、『おかげさまで』という価値観を守り、広めていきたい」と抱負を語った。 「祖父母が今日ここにいてくれたらと願うが、きっと誇りに思ってくれていると信じている。そして、こうして支えてくれる家族が今日ここにいてくれることに、とても感謝している」と述べた。
 ファーストプリンセスにはサンファナンドバレー日系コミュニティーセンター推薦のミーガン・アユミ・ミヤモトさん、ミス・トモダチにはパサデナ日本文化会館推薦のミカ・フミヨ・メグミ・ジョーさんが選ばれた。


受賞者の功労たたえる
世代超えて受け継ぐ奉仕の精神

授賞式に臨む(左から)フランセス・K・ハシモト・コミュニティー・サービス賞を受賞したレストラン「azay」のジョアン・ヒロセさんと長男フィリップさん、インスピレーション賞の受賞者のマイケル・オカムラさん

 今年は戴冠式と同時に、グランドマーシャル、パレードマーシャル、インスピレーション賞、フランセス・K・ハシモト・コミュニティー・サービス賞の表彰式も行われた。グランドマーシャルのトーマス・イイノさん、パレードマーシャルのイースト・ウェストプレーヤーズ劇団からリリー・タン・クリスタルさんとローズ・チャン・ジューイさん、インスピレーション賞のマイケル・オカムラさん、ベトナム戦争日系退役軍人の代表としてデイビッド・ミヨシさんとケン・ハヤシさん、フランセス・K・ハシモト・コミュニティー・サービス賞のダグ・アイハラさんクリス・アイハラさん夫妻、そしてレストラン「azay」を創始した故・広瀬陽(あきら)さんの夫人のジョアンさんと息子のフィリップさんが登壇し、それぞれ2024年女王とプリンセスのエスコートを受けて表彰状を受け取った。

グランドマーシャルのイイノさん(中央)に受賞の盾を渡すオオタ委員長(左)と、昨年度女王のジーさん

 グランドマーシャルのイイノさんは代表としてあいさつし、日系3世である自身や仲間を導いてくれた偉大な2世たちの名を挙げて感謝の意を表した。そして、「人類という長い歴史の中で、人の人生はほんの一瞬のきらめきにすぎない。だからこそ、幸運にも明日の朝、また目を覚ますことができたなら、前向きであること、思いやりを持つこと、そして与える存在であることを忘れてはならない。これこそが二世週祭の精神だ」と語った。

戴冠し観客の声援に笑顔で答える新女王のルックさん(中央)とプリンセスたち

息もぴったりに日舞を踊る7人の女王候補者たち。春から日本舞踊やスピーチを含むさまざまなトレーニングを受けて、晴れの舞台を迎えた

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です