日本では見かけない当地の野生動物「コヨーテ」。先日ドジャー・スタジアムに1匹が迷い込み、話題になった。1月から3月が繁殖期で活動を活発化させるというので、飼い犬の散歩時などには注意したい。
 友人のペットがコヨーテに襲われた時、「本当にかわいそうだよ、コヨーテが」と言った人がいて、物事にはいろんな見方があるものだと思った。実際、街まで生息域を広げざるを得ない環境は気の毒で、殺鼠(さっそ)剤を盛られたネズミを食べて病気になったコヨーテを見かけるたびに心が痛む。
 20日付LAタイムズ紙によると今月、1匹のコヨーテが初めてアルカトラズ島へ泳ぎ着いたという。サンフランシスコ港にほど近いエンジェル島に初めてコヨーテが泳ぎ渡ったのは2017年で、今では島内に少なくとも14匹が生息しているという。冷たい荒波にもまれアルカトラズ島まで泳いだ強靱(きょうじん)なコヨーテのその後はまだ確認されていないが、専門家は、齧歯(げっし)動物や鳥類など餌が豊富なこの島で生き延びる可能性はあるけれど、エンジェル島よりはるかに小さく、本土から遠いアルカトラズ島で繁殖する確率は低いと見ている。
 こう言うと少し大げさに聞こえるかもしれないが、私は夕方のウォーキング時にコヨーテに襲われそうになったことがある。人通りの少ない住宅街に入ったとたん、3匹の群れに囲まれ、とっさに目の前のお宅のフェンスを開けて前庭へ飛び込み、玄関ドアをノックし助けを求めた。お宅は留守で、ゲートまで近づいて来た1匹と目が合った状態で、護身用に携帯していたペッパースプレーを手に構えた。この1匹は、私が獲物になりそうな小型犬でも連れていないか確認したのだと思うが、その時、車が横付けに止まり、運転手の声がした。
 「君の後をコヨーテがつけていたから心配になって止まったんだけど、大丈夫?」
 私は心臓がバクバクする中、この男性にお礼を伝えた。男性は去って行くコヨーテの群れを確認し、車で送ろうかとまで申し出てくれた。1ブロック先の人通りの多い道まで走って行くので大丈夫、と私が伝えると、親切にも私の後を車でゆっくりついて来てくれた。
 世の中には親切な人がいるものだ。この感謝の気持ちを私は一生忘れないだろう。(平野真紀)

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