

東京6大学リーグ優勝49回の実績を誇る強豪、早稲田大学野球部(小宮山悟監督)が3年ぶりの米国遠征(2月23日〜3月6日)のためカリフォルニアを訪れ、地元の名門5大学を相手に交流試合を行った。学生らは野球のみならず、米国の文化や習慣を学び、視野を広げ国際感覚を養った。(永田潤、写真も)
1901年創部、今年で125周年を迎える名門。創部からわずか4年後、日露戦争下の05年に、「世界的な視野から野球を学ぶこと」を目標に初の米国遠征を実施した。その遠征で初めて対戦した外国チームがスタンフォード大だった。その後も幾度となくサンフランシスコ遠征を行ったが、最後にスタンフォード大と対戦したのは35年で、今回は91年ぶりの対戦となった。
初の海外遠征では2カ月間滞米し、26試合で9勝を収めた。ロサンゼルスではオクシデンタル大、カリフォルニア州立工科大ポモナ校、南カリフォルニア大(USC)を相手に3勝4敗という記録を残した。120年が経過した現在まで、海外遠征の伝統は受け継がれ、野球を通じた日米親善に寄与している。

今回の春季キャンプには選手24人が参加。温暖な気候の下で、調整は順調な仕上がりを見せた。交流試合はサンフランシスコでサンタクララ大(3—0)、スタンフォード大(3—11)と対戦、その後ロサンゼルスでカリフォルニア州立大ロサンゼルス校(17—1)、同ロングビーチ校(8—7)、USC(2—2)の計5試合を戦い、3勝1敗1分の成績を残した。日本式の基本に忠実な「野球」と、米国式のパワーで押す「ベースボール」の違いがある中で、選手は慣れない環境に適応しつつ早大野球部の実力を見せた。
選手はキャンパスの見学や交流会に参加し、生きた英語に触れるなど、貴重な経験を積んだ。スタンフォード大には、昨年ソフトバンクのドラフト1位指名を保留にした佐々木麟太郎選手がおり、同じ年齢の選手らと甲子園大会の話題で盛り上がったという。

サンフランシスコとロサンゼルスでは、早大の同窓会組織である「稲門会」のそれぞれの支部が歓迎会を開き激励。選手は春季リーグでの通算50回目の優勝を誓った。LA稲門会の友永順平会長は野球部出身で小宮山監督の同期であることから遠征に帯同しサポートした。
さらにロサンゼルスでは、米国との関係推進の功労者である早大野球部OBのアイク生原さんと、USC野球部元監督のロッド・デドーさんの2人の恩人の墓参を行い、その他多くの先人の功績を胸に刻んだ。またトーレンスでは、地元の小学生を対象にした野球教室を開き、少年少女と触れ合った。昨年のワールドシリーズの舞台となったドジャー球場を見学に訪れた選手一行は、メジャー挑戦の夢を膨らませながら興奮気味にカメラのシャッターを切った。
小宮山悟監督の話
野球部の海外遠征は本学の国際化の方針に沿うもので、海外での学びの機会を与え、野球を通じて友好関係を深めている。選手たちには1905年に渡米した最初の野球部員の遠征に思いをはせ、先輩たちの偉業を理解してもらいたかった。そういった歴史を踏まえた上で、選手たちは早稲田の学生として海外で得た経験を次世代に伝えていく責務を負っている。その点を含めて教育したい。早稲田の先輩でドジャースとの橋渡し役を担ったアイク生原さんには、私が学生の時にもお世話になった。今回は選手を率いて監督として墓参することができ、感慨深かった。また、当地の同窓会の方々にも大変お世話になり、感謝している。

米国野球を学ぶつもりで渡米している。細かな点ではわれわれが上だと思っているし、野球の世界ランクでは各カテゴリーで日本がトップにある。負けてはならない相手という意識で戦ったが、結果(3勝1敗1分)には悔しさが残った。守備面のミスもあり、内容を反省しなければならない。帰国後に修正したい。
香西一希主将の話
米国の選手は体格に恵まれパワーがあり、バットスイング、投球のいずれも力強かった。その中で、われわれは足を使った盗塁などベースランニングを絡め、いい戦いができたと思う。また、投手が四球を出さず、低めを丁寧に突く投球は米国でも通用したと感じた。
渡米前は米国野球は大ざっぱだという印象を持っていたが、実際はとても丁寧で、練習の移動でも走って時間を有効に使うなど、学ぶ点も多かった。
バッティングの鋭さと打球の強さが日本と異なり印象的だった。早大は木製バット、米国チームは金属製バットを使用したが、金属でも芯で捉えなければ飛ばないと聞き、米国選手の技術の高さに感心した。
投手の視点から見ると、米国の投手はカーブとスライダーのキレが良かった。緩急よりも、速い変化球を多用していた。それぞれが自分の得意球を武器にしているのが印象的だった。

マウンドは日本と土の硬さが違い、堅くて投げやすかった。スパイクの歯が刺さりにくい感じもあったが、軸足にしっかり体を乗せて投球する重要性を学んだ。
球場はどの大学も素晴らしかった。天然芝や観客席、照明、大きな電光掲示板など大学の球場とは思えないほどの設備が整い、専門スタッフによる整備が行き届いており、環境の良さに驚いた。天然芝は日本ではあまり見られず、美しさに感動した。ランニングの時は、踏みしめながら感触を楽しむことができた。
今回の遠征では、われわれ選手が知らなかったロッド・デトーさんやアイク生原さんのような、日米野球に貢献した先人についても学ぶことができた。、約160人の野球部員のうち今回参加したのは24人だったが、この経験は日本で待機した部員に教えたい。こんなに多くの早稲田の先輩(稲門会会員)が米国で活躍しているとは思っていなかった。本当にお世話になり感謝の気持ちでいっぱいだ。リーグ優勝という結果を出して恩返ししたい。
寺尾拳聖外野手の話
全5試合に出場して6安打だった。時差ボケで体が動きにくかったが、徐々に慣れ、良い経験になった。米国の投手は、日本と違ってスピンの効いた速球よりもツーシーム系の動く球を多く投げ、それを捉えるのが難しかった。速球の速度は日本の投手とさほど変わらないが、身長が高いのでマウンドまでの距離が短く感じられて打ちづらかった。ストライクゾーンは思ったよりも狭く、球審の判定は正確だった。将来はプロ、そして日本代表に選ばれればうれしいし、その時に今回の米遠征の経験を生かしたい。

友永順平LA稲門会会長
野球部を「LA稲門会」の新年会に招くことができ、会員が後輩と交流できて良かった。試合も観戦して応援し、母校との絆を強めることができた。選手たちは野球だけでなく、日米の学生同士の交流や文化、習慣を学ぶ貴重な経験を得たと思うし、稲門会としてその一助となれたたことを誇りに思う。選手たちには、先人の功績があってこそ米国遠征が成り立っていることを理解してもらえたのではないか。
USCの主将の話
遠く日本から素晴らしいチームを迎え対戦できたことを光栄に思う。試合前に早稲田は基礎を徹底したいいチームと聞いていたが、対戦してその通りだった。われわれのほとんどが外国チームとの対戦は初めてで、いい経験になった。われわれのチームには、メジャーを目指す選手が数人いる。将来早稲田の選手とメジャーで再会できることを祈りたい。米国代表として五輪やワールドベースボールクラシックで日本代表と対戦することも楽しみだ。






