

ウェストロサンゼルスのジャパンタウンで2日、「こどもの日」を祝うイベントが開かれ、多くの家族連れでにぎわった。ソーテル・ジャパンタウン協会(SJA)主催による4回目の開催となる今年も、子ども向けゲームや文化体験、ステージ企画などを通して、地域ぐるみで次世代育成の大切さを確認する一日となった。
会場には、ゲームやかき氷、フェースペインティングなど多彩なブースが並び、子どもたちは笑顔で各アクティビティーを楽しんだ。多くの日系コミュニティー団体や、地元高校の日本文化クラブも参加し、地域全体でイベントを盛り上げた。

オープニングに2004年に結成されたウェストLA太鼓による演奏が披露され、子どもグループと大人グループが力強い響きで会場を盛り上げた。また、日本語補習校のコスモス学院の子どもたちのコーラス、さらにフラダンス、今年初参加となる日本民謡「竹嶺会」や、マジックショーなども披露され、一層内容を充実させた。
開会にあたり、司会を務めたロン・カトウさんは、毎年会場を提供している西羅府仏教会に感謝を述べるとともに、地域のメソジスト教会やホーリネス教会にも触れ、「地域社会が平和と調和の中で暮らすための精神的な土台となっている」と語った。分断と不安が広がる現代社会において、地域のつながりの重要性を強調した。
続いて西羅府仏教会の高田興芳住職があいさつし、日本の「こどもの日」について、「子どもの人格を尊重し、その幸せを願う日」と紹介。「子どもと親がお互いを尊重しながら、今日1日を楽しんでほしい」と呼びかけた。

もう1人の司会を務めたサンドラ・エンドウさんは、「これは子どもたちだけでなく、地域全体が集まり、文化を分かち合う日でもある」と述べ、AAPIヘリテージ月間の幕開けを飾るイベントとしての意義を紹介した。
ロサンゼルス市議会のトレーシー・パーク市議があいさつし、「われわれも西側地域で若者たちが楽しみ、成長できる環境づくりに日々取り組んでいる」と述べた。さらに「子どもの日」について、「今年はこれまで以上に多くの子どもたちが参加している」とし、主催者やボランティアへの感謝を表した。
こどもを支える地域の力
イベントでは、地域社会への長年の貢献者たちへの表彰も行われた。
ウェストロサンゼルス合同メソジスト教会で長年活動してきたエミリー・クックさんは、学生支援や募金活動、感謝祭の食事提供など、多年にわたる地域奉仕活動を評価された。

また、1961年に沖縄から渡米し、日本語を話す高齢者や移民たちの支えとなってきたイサオ・ヘンリー・イケハラさんも表彰された。98歳となった現在も教会活動を続け、地域住民の相談役として親しまれている。
西羅府仏教会で25年以上活動するコニー・ヤハタさんも顕彰された。寺院会長や婦人会会長を歴任し、コロナ禍では高齢者向けに食事やタブレット端末を提供する支援活動を行った。ヤハタさんは「7月末に開かれる盆踊りにも、ぜひ足を運んで」と来場者に呼びかけた。
さらに、100年以上の歴史を持つソーテルの日本語・文化教育団体「日本学院(JIS)」も表彰された。施設改修や日本語プリスクール開始など近年の取り組みが紹介され、地域文化継承への決意が語られた。
若い世代への表彰も行われた。パリセーズ高校のニコラス・デラトーレさんは、学校で日本文化・日本語クラブを創設した他、地域清掃活動や生徒会活動にも取り組んできたことがたたえられた。

デラトーレさんが会長を務める同校の「日本文化・日本語クラブ」は、箸を使ったゲームコーナーを運営した。小さな子ども向けにはスプーン版も用意され、景品として折り紙やキャンディーなどが配られた。クラブは「こどもの日」イベントが始まって以来、毎年参加しているという。
同校は生徒数約3千人のチャーター校(特別認可を受けた公立校)で、2025年1月のパリセーズ火災で大きな被害を受けたことも記憶に新しい。母が日本人で、自身も日本語学校を卒業したというデラトーレさんは、毎週約12人前後でクラブ活動をしていると話し、「少人数だが、みんな熱心だ」と笑顔を見せた。「アニメを通じて日本に興味を持つ人は多いが、あまり知られていない日本の部分についても分かりやすく伝えたいと思ってきた」と話す。卒業を控え、今秋からはミネソタ大学へ進学予定だという。
室内会場ではソーテル・ジャパンタウンの歴史と、未来への取り組みも紹介された。ランディ・フジモトさんは、スマートフォンを使ってインタラクティブ(双方向的)にジャパンタウンの歴史を探検する「ソーテル物語」のプロジェクトが前進し、試運転を開始したことを紹介。また、ソーテル大通り沿いでコミュニティー参加型の壁画プロジェクトを準備していることを明かした。
こいのぼりが元気よく空を泳ぐ会場では、世代や立場を超えて地域のつながりを育もうとする温かな空気が広がっていた。
子どもたちには家庭、学校、そして教会や寺院や地域行政が見守るコミュニティーという三つの支えがあり、イベントは日系コミュニティーが長年大切にしてきた地域教育の精神を象徴しているようだった。
イベント共同代表を務めるナオミ・カゲヤマさんは、「ソーテルで愛される伝統行事にしたい」と開催への思いを語った。
ソーテル・ジャパンタウン協会―
(長井智子、写真も)
