
サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会の1次リーグF組初戦で2―2で引き分けた日本対オランダ戦の観戦イベントが14日、小東京の「メトロ小東京駅」の広場で開かれた。千人を超える日本サポーターが集結し、「ニッポン!」と大声援を送った。
イベントは、リトル東京コミュニティー協議会(LTCC)が主催し、ロサンゼルス・メトロの協力により実現した。

LTCCのクリスティーン・フクシマ会長があいさつに立ち、「140年を超える、ロサンゼルスで最も歴史あるコミュニティーの一つであり、全米でも数少ない日本町の小東京にようこそ」と歓迎した。LTCCについて、小東京の町の保全と振興に尽くしている団体と説明。「素晴らしいパートナーであるメトロと協力し、この駅の広場に地域内外の人々を迎えてサッカーファンが集う場を設けることができた」と喜んだ。来賓の室田幸靖総領事は、「小東京でこのイベントを開催できたことが素晴らしい。対戦相手のオランダは非常に強いが、いい試合になると思う。みんなで応援しよう」と呼び掛けた。
集まった参加者の多くがインスタグラムなどソーシャルメディアでイベントの開催を知ったという。日本代表のレプリカジャージーなどに身を包み、日の丸を手にキックオフを待つサポーターも目立ち、日本チームがピッチに姿を見せると、早くも歓声が湧き起こった。「君が代」の斉唱に耳を傾け、心を一つにして結束を強めた。
キックオフの笛がなると、「ニッポン!」「ニッポン!」の大合唱と手拍子が小東京に鳴り響いた。日本のチャンスで「ゴー!ゴー!ゴー!」などと叫び、ピンチでは「ディフェンス」と声を合わせ、守り切ると安堵の大きな拍手が沸き起こった。一進一退の攻防が繰り広げられたが、前半は両チーム無得点のまま折り返した。
後半は、前半と打って変わって目まぐるしく試合が動き、それぞれのチームが得点するたびにサポーターは一喜一憂した。51分に日本が先制点を許すと、悲鳴や、「オー」というため息がもれた。日本サポーターの大群の中で、オランダを応援する2人のサポーターが控えめに拍手をする姿も見られた。
そのわずか6分後の57分に日本が同点に追い付くと、今度は絶叫がこだまし、ダラスの試合会場さながらの歓喜に包まれた。だが64分には再びオランダに勝ち越しを許す。劣勢に立たされ、終盤には敗戦ムードも漂ったが、絶体絶命のピンチにもあきらめない日本チームの姿に声援を送り続けた。試合終了間近88分に同点に追いつくと小東京には歓喜の嵐が渦巻いた。

試合はそのまま2―2で終了。日本は、貴重な引き分けで勝ち点1を奪った。
参加者は「できれば日本に勝ってほしかった」と、悔しさをにじませながらも、「よく頑張った」「あの場面からよく同点に持ち込んだ」「優勝候補のオランダとの引き分けは勝ちに等しい」などの称賛の声が多く聞かれた。
参加者のヒロ・エダザさんは長崎に親戚を持つ新2世で、全米日系人博物館に勤めている。弟のアレクサンダーさんと共に観戦したという。ヒロさんは「熱狂的なファンと一緒に日本チームを応援できて、楽しかった。日本の2点目のゴールでは皆が最高の興奮状態に達し、私もしびれた」と、大声援でからした声で話し、日本の第2戦も小東京に来て応援したいと目を輝かせた。
パロスバーデス在住で日系の会社に勤める駐在員の仲本恭輔さんと妻の結実子さんは、5歳の息子と2歳の双子の娘を連れて訪れた。恭輔さんは「こんなに多くの米国人が日本を応援するとは思っていなかったので驚いた。日本を後押しする一体感があり、家族で楽しむことができた」と語った。
会場には小東京を拠点に活動する日系団体の全米日系人博物館(JANM)、小東京歴史協会(LTHS)、リトル東京フットサル、リトル東京ラン・クラブ(LTRC)がブースを出し、それぞれの活動を紹介するとともに、小東京の魅力を伝えた。また、地元の商店が商品を販売したり、日系のビールメーカーがビアガーデンを開いたりするなどして、お祭りムードに包まれた。

大型スクリーンの横に展示された日本代表選手のサイン入りジャージーの周りには多くの人が集まり、次々と写真を撮っていた。このジャージーは昨年9月のメキシコとの親善試合の際に、室田総領事が友人の森保一監督から贈られたものだという。
クラフトコーナーでは、子どもたちが夢中になって日本の国旗やサッカーボールの絵を描いた。オレンジ郡に住むサニー・リベラ・サルシードくんは、母親のローレンさんに連れられて来場した。日本食が大好物なことからサッカー日本代表も応援するようになったという。この日は、「JAPAN26」と胸にプリントされた青色のジャージーを着用。クラフトコーナーで作った自作の小旗を振りながら日本に声援を送った。サッカーチームでプレーしており、「米国代表でW杯に出て、日本と対戦してみたい」と大きな夢を語った。
ローレンデール在住のマット・オキダさんと娘のカヤちゃんは、大ファンというドジャースの野球帽とサッカー日本代表のレプリカジャージーを着て参加した。マットさんは、小東京の集合住宅で暮らす祖母の故国日本と自身の米国の両代表を応援しているという。「二つの国を応援しているので、大会の期間中はとても忙しいがとても楽しい」と語った。サッカー少女のカヤちゃんは、「サッカーを頑張って練習して、いい選手になりたい」と話した。親子は共同で作った日本の国旗とペナントを手に、試合を観戦した。

室田総領事はイベントを振り返り、「日本人と日系人、ロサンゼルス市民が日本を応援し、本当に価値のある企画になった。主催してくれたLTCCに感謝したい」と述べた。
フクシマ会長は「地元小東京の団体と商店を巻き込み、多くの人々が訪れ、大いに盛り上がる素晴らしい観戦パーティーになった。メトロと協力して、この小東京駅の広場で初めて、サッカーのファンゾーンを開くことができたことが、うれしい」と喜んだ。「第2戦、第3戦は他の団体やバーなどが観戦パーティーを開くと思うので、また小東京に来てほしい。日本が勝ち進んで、毎回、小東京で多くの人が観戦すれば、町もますます活性化し、いいことづくめだ」と、W杯の盛り上がりに期待を寄せた。 (永田潤、写真も)

